ここからがセッション本編です。
「セッション5分前仮説」というタイトルはこの部分をさすため、タイトルコールをする際はここで行ってください。
セッション導入
8-1. 導入
君たちはとあるビルの前にいる。
今日は同行者のおごりで、豪華なレストランで夕食をとる予定でいる。
予約の時間もあるので、君たちは予定よりも早く現地に赴き、そのあたりで時間を潰そうと散策をしていた最中だ。
そして、レストランのあるビルの一回で何やら催事をやっているのを見かける。
そこには「体験して学ぼう!世界の珍思考実験展!」といったポスターと看板があった。
>面白そうと誘うKPCとのRP

「いらっしゃいませ、当展示会は入場無料となっております」
「あちらで来場頂いた方を対象に、プレゼントキャンペーンも行っております」
「それではどうぞごゆっくりお楽しみください」
広く整ったフロアの中には、展示物が5つほどあるようだ。

・展示物(4箇所)
・スペシャルブース
8-2A. 展示物①:世界5分前仮説
展示物はパネル式で、小中学生でもわかるように噛み砕いて説明されているとても親切なものだった。
世界五分前仮説とは、哲学的な思考実験の一つです。
これを簡単に言うと、「今からちょうど5分前に、この世界が突然できたとしたら、それを証明することも、違うと言うこともできないのでは?」という考え方です。
アナタは今何歳でしょうか?例えばアナタがこれまでの人生で経験してきたたくさんのこと、例えば学校で勉強したことや友だちと遊んだ思い出も全部5分前に突然できた記憶や情報だったとして、それが本当にそうだったのかどうか、確かめる方法はありますか?難しいですよね。
この考え方は、私たちが「これは本当だ」と思っていることに、ちょっと疑問を持つためのものです。
すべてのことには確かな答えがあるわけではなく、考え方や見方によって、いろいろな答えがあることを知るための面白い話として、哲学者たちが考えたものです。
この話を聞いて、ちょっと不思議な気持ちになるかもしれませんね。
でも、世界には確かな答えがないこともたくさんあって、それを考えることで、新しい発見や気づきがあるかもしれませんよ。
8-2B. 展示物②:シミュレーション仮説
展示物はパネル式で、小中学生でもわかるように噛み砕いて説明されているとても親切なものだった。
シミュレーション仮説とは、私たちが今生きているこの世界が、実は高度なコンピュータの中で作られた「シミュレーション」。
つまり「仮想の世界」なのではないかという考え方です。
みなさん、ゲームやアニメで、仮想の世界で冒険をしたり、生活をしたりする話を聞いたことがありますよね。
シミュレーション仮説は、もしも私たちの現実が、何かの高度な技術を持つ存在によって作られたゲームのようなものだったらどうでしょうか、という考え方です。
もちろん、これはただの仮説ですから、真実かどうかはわかりません。
でも、技術が進化する中で、もしも本当にこんな仮想の世界を作れるようになったら、私たちの世界もそういうものなのかもしれないと、考える人たちがいます。
現に物理学などを突き詰めると、偶然では説明の難しいことがたくさんあったり、直感的に理解できないような不思議な現象に数多く行き当たり、偉い人でもこの仮説が本当なのではと考える人がそれなりに居ます。
この考え方は、物事の見方や考え方を広げるための面白い話の一つです。
日常の中で、もしもこれがゲームだったらどうしよう、とちょっと想像してみるのも楽しいかもしれませんね。
8-2C. 展示物③:シュレディンガーの猫
展示物はパネル式で、小中学生でもわかるように噛み砕いて説明されているとても親切なものだった。
シュレディンガーの猫とは、シュレディンガーという学者が、提唱した量子力学に関する思考実験です。
箱の中に猫と、特殊な装置が入っています。この装置は、ある確率で動き出し、動き出すと中の毒ガスが放出されて猫が亡くなってしまいます。
でも、箱を開けるまで、装置が動いたのか、動かなかったのかはわかりません。
ここで面白いのは、箱を開けるまでの間、猫は「生きている状態」と「亡くなっている状態」の、2つの状態を同時に持っているという考え方です。
箱を開けると、どちらかの状態が確定しますが、それまでの間は2つの可能性が同時に存在する、というのがシュレディンガーの猫のお話です。
この話は、物理学の中で「量子力学」という分野の不思議な現象を説明するためのものです。
日常生活では考えにくいことですが、物理学の世界では、こんな面白い現象が考えられています。学びの中で、不思議な現象や新しい考え方に触れるのは楽しいですね。
8-2D. 展示物④:テセウスの船
展示物はパネル式で、小中学生でもわかるように噛み砕いて説明されているとても親切なものだった。
テセウスの船は、古代ギリシャの神話に登場する英雄テセウスが使った船にまつわる話から来ている考え方で、哲学の世界では「同一性」について考えるときによく使われる例です。
想像してみてください。テセウスがミノタウロスという怪物を倒すために乗った船があったとします。
テセウスが帰ってきた後、人々はその船を大切にして、毎年修理を続けました。古くなった木の部分を新しい木で取り替えて、ずっと長い間、その船を保ち続けたんです。
ここで問題が出てきます。「もし船の部品が全部、元のものから新しいものに取り替えられたら、その船はまだテセウスの船と言えるのか?」という問題です。
さらに、取り替えられた古い部品でまた元の船を組み立てたら、どちらが本物のテセウスの船なのでしょうか?
この話は、物事の本質やアイデンティティ(同一性)、変化について考えるときに参考にされます。
つまり、何かが時間とともに変わったとしても、それは元々のものと同じものと言えるのか、ということを問うているんです。
みなさんが、自分が成長して変わっていく中で「私は私」であり続けると感じるのと似ていますね。
8-3. スペシャルブース

「ようこそスペシャルブースへ、ここでは1~2時間ボタンと言う参加型のプチアトラクションに挑戦頂けます」
「なお、参加いただいた方にはもれなく、粗品として当ビル23Fにありますレストランの半額割引券を贈呈しております」

「まず、五億年ボタンというものを知っていますか?」
「五億年ボタンとは見た目は何の変哲もない、白い台座に赤いボタンが付いているだけの物で」
「このボタンを押すと100万円出てくるが、その代わり5億年を何もない空間で過ごさなければならない、というフィクションです」

「ボタンを押した瞬間、押した人は何もない空間へとワープします」
「そこは白いタイル張りの地面がどこまでも続いている空間で、辺りは薄暗く本当に何もありません」
「そして、そこではお腹が空かないので食事を取る必要はなく、意識はハッキリしているので睡眠を取る事はできず、死ぬ事もできません」

「ただひたすら何もない空間で、5億年というとんでもなく長い時間を1人で何もせずに過ごす必要があります」
「5億年経過すると、その間の記憶はリセットされ、体も時間も元通りの状態でボタンを押した瞬間に戻されます」

「押した人にとっては一瞬意識が飛んだ感覚に陥るが、何も記憶が残らないので気が付くと100万円稼げている、ということになりますね」
「アナタはそんなボタンがあったら押したいと思いますか?」

「押してみたい…でも怖いですよね?」
「そこでちょっとしたお試しとして、当展示会ではプチ5億年ボタンとして1~2時間ボタンというものを用意いたしました」
「これは実に単純で、ボタンを押すとアナタの意識(の複製体)が、このコンピューターの中に入り込み」
「1~2時間かけて内部でちょっとした挑戦にチャレンジいただきます」
「そしてコンピューター内部で1~2時間、実時間にして20秒程度で挑戦が完了するとあなた方の手元に粗品が届くという遊びです」

「どうです?挑戦してみませんか?」
「挑戦の際は二人揃ってそちらのボタンを押してみてください」
※PCが押すのをためらっていると、無理やりKPCがボタンを押す
あなた方がボタンを押すと、不思議なことにあなた方を模したようなドットのキャラクタが画面に映る。
二人はトロッコのような乗り物に乗ると、10体ほどのモンスターのようなドットのキャラを薙ぎ倒し、ゴールに辿り着く。

「無事ゴールできたようですね、ではこちらの粗品をどうぞ」
8-4. 楽しい食事、そして
そのようにして二人で体験展示に触れ楽しい時間を過ごしたあなた方。
その後のレストランでの食事も素晴らしいものだった。
加えて、格式高いレストランだったため、半額浮くというのはお財布にとってもとてもありがたかった。
さて、人間はその認知の及ぶ範囲でしか物事を把握することができない。
逆に言えば誰にも認知されていないことは本当に起こった事象と言えるのだろうか?
あなた方二人にとって今日はどのような一日だっただろうか?
大切な人と二人ででかけ、予期せぬ面白い展示会に出会い、美味しいレストランで食事をともにして、家族のいる部屋でぐっすり寝る。
あなた方が今日起きたと認識しているのはこれくらいのことだ。
こんな一日を幸せと見るか、それとも違うと見るかはあなた方次第。