🟡KP向け:シナリオ中の略称
RP :ロールプレイのことです
SANc :SANチェックのことです
導入分岐
🟡KP向け:導入の分岐について
本シナリオは狂バイトという、高額報酬のために危険な神話的事象に自ら挑むシチュエーションで遊べるシナリオのシリーズの一つとなっています。
このシリーズはシリーズ間を順不同で遊ぶことができます。
加えて狂バイトに参加せず、巻き込まれる形の一般人としてシナリオに参加することも可能です。
🟡KP向け:複数PCの場合の導入ついて
PCが複数人の場合は、怪異に巻き込まれるPC(仮にPC1)を決めてください。
その他のPCはPC1の知人として、PC1の誘導でセッションに参加する流れを作成してください。
今回シナリオは狂バイトを受けられるのは一人だけなのに注意してください。
▶導入例:
・狂バイトを受けに行く際に不安なPC1に同行を求められる
※PC1以外のPCもお金に困る設定にしておくと、シリーズを続けて遊びやすいです
🟡KP向け:複数人プレイ時の時間経過について
本シナリオですが時間制限が設けられており、それに酔って緊張感を強める作りになっています。
そのため、複数人プレイ時に行動の分担を許してしまうと、一気に時間制限がゆるくなってしまい緊張感が薄れるため、PC1の行動には補助が必要など理由をつけて同じ行動をさせるようにしてください。
🔽PC1の状況に応じた導入
▶PCが初めて狂バイトシリーズに参加する場合 :1-1A 初めての狂バイト へ
▶PCが既に狂バイトシリーズに参加している場合:1-1B 狂バイト再び へ
▶狂バイトに参加せずに遊ぶ場合 :1-1C 突然の贈り物 へ
1-1A. はじめての狂バイト
寂れた地下街の入り口に立った瞬間、薄暗い蛍光灯がちらちらと不安定な光を放つ。
シャッターが降りた店がずらりと並び、そこかしこに錆びついた看板が無造作に転がっている。
あなたの足音が冷たいコンクリートの通路に響き渡る。人影はほとんどなく、時折見かけるのは怪しげな雰囲気を漂わせる外国人が数人、店の前で煙草をふかしているくらいだ。
彼らの視線がちらっとこちらを向くが、すぐにまた元の会話に戻る。
地下街全体が長い間忘れ去られていたような、時間が止まったような感覚に包まれている。
あなたはさらに奥へと歩みを進める。周囲の空気が次第に重くなり、暗闇が深まっていくのを感じる。
照明も次第に弱くなり、道筋はぼんやりとしか見えない。それでも、目的の場所を見つけるべく足を止めることなく、薄暗いシャッター街を進み続ける。
奥へ進むごとに、何かが潜んでいるような、得体の知れない気配が肌にまとわりついてくる。
その空気に、背筋がひやりとするが、何もない――いや、少なくとも目にはなにも見えない。
奥に進むに連れ足元を照らす照明の光が少しずつ増えてきた。
薄暗い中、その光が不気味に輝き、周囲の陰鬱な雰囲気を一層際立たせる。
そして、最奥に辿り着いた時、そこには場違いなほど鮮やかなネオンの看板が、ひときわ目を引くように輝いていた。
他の店が廃れたシャッターに覆われている中、この店だけが異質な存在感を放っている。
看板に書かれた文字は既に風化して久しいため、何を意味するのかは分からない。
だが、その怪しげな光に誘われるように、あなたはその扉の前に立ち止まる。
店の扉を開けると、まばゆいネオンの光があなたを迎える。
薄暗い地下街とは対照的に、この店の中は怪しい色の光で満たされ、まるで異国の地に足を踏み入れたような感覚だ。
だが、その輝きの中に漂うのは何とも言えない不穏さ。
派手な照明が部屋の隅々まで照らしているにもかかわらず、どこか影がつきまとっているような錯覚を覚える。
カウンターの奥には、スーツに身を包んだ女性の姿が見える。
黒いサングラスが目元を隠しているため、その表情は全く読めない。
椅子に深く腰掛け、カウンターに足を投げ出すその姿は、何事にも動じないような風格と、有無を言わさぬ威圧感を感じる。

「ようこそ、名もなきバイト斡旋所へ」
店内の様子に戸惑い、佇むあなたに、女性が声をかける。
彼女のスーツの肩にかかった髪が一瞬ネオンの光を反射し、なんとも怪しい光を放った。

「こんな場所に来たということは既知とは思うが、仕事前に説明する決まりでね」
「ここのことを説明させてもらおう」
彼女はそう言いながら、サングラス越しにあなたを値踏みするように見つめてくる。

「まずここはバイトの斡旋所」
「表沙汰にできないような仕事を色々扱っている」
「危険なものがほとんどだが、その分報酬も桁違いと思ってもらっていい」

「ここでの決まりごとは3つ」
「ひとつ、依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「ふたつ、依頼を途中で投げ出すべからず」
「みっつ、依頼のことを無関係の人間に他言するべからず、ただし依頼を分担・協力するための情報共有は可能だ」

「これさえ守ってくれれば出自、動機一切は問わない」
「破れば報酬の話はおじゃん、そして制裁を受けてもらう」
「おーけー?」
煙をふかしながら語る彼女の言には、NOと言わせない確かな圧があった。
もとより追い詰められたあなたにはYES以外に返答の余地はないだろう。
>PCの返答(YESの想定)
あなたの返答に彼女は一息煙を吐き出すと、コクリと頷く。

「じゃあ早速依頼の話に移ろう」
「ちょうど一つ、手軽な依頼がある」
そう言うと彼女は足元をガサゴソとあさり、一つの箱を取り出す。
彼女がそれを開けるとそこには、ずいぶん古びた女児向けと思われる赤い靴が収められていた。

「依頼は至極単純、この靴を履くこと」
「別にトンチじゃない、かかとを踏んでもらってもOK、ただ足を靴に通せばいい」
「それができれば報酬100万」

「受ける?受けない?」
「返事は2つに一つ」
そう言うと彼女は短くなったタバコを灰皿に押し当て、あなたに視線を向ける。
🔽依頼を受けない場合
シナリオ終了になります。
あらかじめ依頼を受けないといけない動機づけをしたうえで、この場で依頼を受けないとセッション終了の上、(借金等で)PCも破滅する旨を伝えて選択をしてもらってください。
>PCの返答(YESの想定)

「おーけー」
「ではこれを」
そう言って彼女は件の箱をあなたに差し出す。
改めて靴を見る。
その靴は一見、ただの古びた女児向けの靴に見える。
だが、よく見ると、その表面には長い年月を経たかのような擦り傷が無数に走り、使い込まれた跡が色濃く残っている。
赤色も、もともとは鮮やかだったのかもしれないが、今はくすんでいて、その退色した色合いが異様さを増している。
だが、単に古びた靴というわけではなかった。その靴には説明できないほどの不穏な雰囲気が漂っている。
見る者の目を引き、なぜか視線を逸らせない。
靴自体は無害そうに見えるのに、触れてはいけない、いや、触れたくないという強い衝動が胸の奥に生まれる。
さて、あなたの行動や如何に?
🔽何か質問をする場合

「依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「今回は見逃すが、あまりしつこいようなら制裁に移るぞ」
SANc:0/1
🔽靴をはかない場合
いつまで経っても靴をはかない様子のあなたを見かねて女性が声を上げる。

「依頼を投げ出すべからず」
「これ以上まごまごしているようなら依頼不履行と見て制裁に移るが…」
その目には一欠片の慈悲も、ためらいの色も見て取れない。
殺気すら感じさせない無機質な瞳に、あなたの肝が凍え背筋に冷たいものが走る。
SANc:1/1D3
どうやら覚悟を決めるしか無いらしい。
差し出された古びた赤い靴を手に取ったとき、心の中に広がるのは嫌悪感だった。
この靴を履くなんて、正気の沙汰ではないが、そもそも正気であればこのような場所に訪れていない。
全ては報酬のためだと自分に言い聞かせ、しぶしぶ足を差し込むことにした。
明らかにサイズが合わない小さな女児向けの靴に、大人のあなたが足を入れるのは、どう考えても無理がある。
かかとがうまく入らず、無理やり踏みつける形で何とか履きこなそうとする。
足に馴染まない不快な感触がじわじわと伝わり、心うちで思わず舌打ちをする。
足先だけねじ込んだが、それでも靴はあまりにも小さく、足は窮屈で痛む。

「依頼達成だな」
「ほら、これが報酬だ」
そう言ってポンと手渡されたのは、現実で余り見る機会のない束にされた一万円札。
あなたが危険に身を投じてまで手に入れたかった、待望の大金だ。

「後からの苦情は受け付けない」
「確認するなら今すると良い」
「それが終わればとっとと帰ることだ」
あなたがそうして女性とやり取りをしたり、報酬の確認をしたりして、再び靴に目をやると奇妙な事態に陥っていた。
あの赤い靴がぴたりと足にフィットしていたのだ。
まるで最初から自分のために作られたかのように、靴は足にぴったりと吸い付いている。
どうやってこんなに自然にフィットしたのか、理解できない。
かかとが収まっていないことに苛立っていたはずなのに、今ではまるで違和感すらなかった。
いや、違和感がなかったのはほんの一瞬のことだった。
突然、靴がぎりぎりと足を締め付け始めた。
靴自体が縮んでいくように、足を圧迫する感覚がじわじわと強くなる。
最初は軽い圧迫感だったが、次第に痛みが鋭くなり、まるで足の骨が潰されるかのような激痛が走った。
靴の中で足が縮んでいくような感覚。
足の指先がぎゅうぎゅうと詰め込まれ、まるで靴が自分に合うように足を強制的に変えようとしているかのようだった。
あなたは足を引き抜こうとしたが、靴はまるで足に吸い付いたかのようにびくともしない。
圧力は増す一方で、足全体が圧縮され、潰されていくような痛みに息が詰まる。
足がこの小さな靴の形に無理やり変えられていく感覚に、冷や汗が背中を伝う。
そうしているうちに痛みは徐々に強くなる。
見れば傍目にもわかるほどに足のサイズが縮んでいる。
今、靴の中がどうなっているのか、想像もしたくない。
SANc:1/1D3
DEX-25 (6版は-5)
※対象は赤い靴を履いているPCのみ
※DEXは0以下にならない
🔽靴を脱ごうとする場合
靴の異様な締め付けに気づき、あなたはすぐにそれを脱ごうとする。
だが、いくら足を引き抜こうとしても、靴はまるで吸い付いたようにびくともしない。
両手で靴を掴み、強引に引っ張ろうとするが、かえってその締め付けが一層強まるばかりだ。
🔽靴を壊そうとする場合
焦りが頂点に達し、あなたはもはや手段を選ばず、靴を破壊して脱ぎ捨てようと決意する。
何か固い物を手に取り、靴に向かって強く叩きつける。
だが、その瞬間、鋭い痛みが足を貫いた――まるで靴そのものに神経が通っているかのように。
靴に触れるたび、足から全身へ電流のように激しい痛みが走り、思わず身を縮める。
靴はまるであなたの肉体の一部となっているようだった。
靴の外側に何度も強打を加えるが、靴には全く変化がない。
まるで頑丈な鎧のように、表面には傷一つつかない。
しかし、痛みだけは容赦なく襲いかかる。
靴に力を加えるたび、足が悲鳴を上げ、骨の奥まで激痛が広がる。
何をしても靴には傷一つ付かず、痛みだけが増していく。
その痛みは足の骨が砕かれるかのように鋭く、抜け出そうとすればするほど、その呪いは深まっていくのだった。
SANc:1/1D4
HP-1
※対象は赤い靴を履いているPCのみ
※DEXは0以下にならない

「さて無事依頼も完了したな」
「用が済んだら帰っとくれ、お帰りはあちらだ」
そう言って女性は顎で出口を指し示す。
その顔にあなたへの心配の色などまるで無い。
至極当然といった様子で淡々と退出を促す。

「初回サービスだ、最後に一つだけ助言しよう」
「生き残る気があるのであれば急いだほうがいい」
「これはここの鉄則だ」

「それじゃ、生きていればまたのご来店を」
無表情にそういう彼女は、既に君彼目線を外し手元の本へと目線を落としている。
彼女にとってはこれが日常なのだろう、依頼を完了した君のことなど既に眼中にないようだ。
君は痛む足を引きずり、店を後にする。
1-2. 狂バイト再び
寂れた地下街の入り口に立った瞬間、薄暗い蛍光灯がちらちらと不安定な光を放つ。
シャッターが降りた店がずらりと並び、そこかしこに錆びついた看板が無造作に転がっている。
あなたの足音が冷たいコンクリートの通路に響き渡る。人影はほとんどなく、時折見かけるのは怪しげな雰囲気を漂わせる外国人が数人、店の前で煙草をふかしているくらいだ。
彼らの視線がちらっとこちらを向くが、すぐにまた元の会話に戻る。
地下街全体が長い間忘れ去られていたような、時間が止まったような感覚に包まれている。
あなたはさらに奥へと歩みを進める。周囲の空気が次第に重くなり、暗闇が深まっていくのを感じる。
照明も次第に弱くなり、道筋はぼんやりとしか見えない。それでも、目的の場所を見つけるべく足を止めることなく、薄暗いシャッター街を進み続ける。
奥へ進むごとに、何かが潜んでいるような、得体の知れない気配が肌にまとわりついてくる。
その空気に、背筋がひやりとするが、何もない――いや、少なくとも目にはなにも見えない。
奥に進むに連れ足元を照らす照明の光が少しずつ増えてきた。
薄暗い中、その光が不気味に輝き、周囲の陰鬱な雰囲気を一層際立たせる。
そして、最奥に辿り着いた時、そこには場違いなほど鮮やかなネオンの看板が、ひときわ目を引くように輝いていた。
他の店が廃れたシャッターに覆われている中、この店だけが異質な存在感を放っている。
看板に書かれた文字は既に風化して久しいため、何を意味するのかは分からない。
だが、その怪しげな光に誘われるように、あなたはその扉の前に立ち止まる。
店の扉を開けると、まばゆいネオンの光があなたを迎える。
薄暗い地下街とは対照的に、この店の中は怪しい色の光で満たされ、まるで異国の地に足を踏み入れたような感覚だ。
だが、その輝きの中に漂うのは何とも言えない不穏さ。
派手な照明が部屋の隅々まで照らしているにもかかわらず、どこか影がつきまとっているような錯覚を覚える。
カウンターの奥には、スーツに身を包んだ女性が立っている。
黒いサングラスが目元を隠しているため、その表情は全く読めない。
椅子に深く腰掛け、カウンターに足を投げ出すその姿は、何事にも動じないような風格と、有無を言わさぬ威圧感を感じる。

「ようこそ、名もなきバイト斡旋所へ」
「またの来店、嬉しく思うよ」
店内の様子に戸惑い、佇むあなたに、女性が声をかける。
彼女のスーツの肩にかかった髪が一瞬ネオンの光を反射し、なんとも怪しい光を放った。

「さて、既知のこととは思うが決まりなんでね」
「ここのルールを説明させてもらおう」

「ここでの決まりごとは3つ」
「ひとつ、依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「ふたつ、依頼を途中で投げ出すべからず」
「みっつ、依頼のことを無関係の人間に他言するべからず、ただし依頼を分担・協力するための情報共有は可能だ」

「これさえ守ってくれれば出自、動機一切は問わない」
「破れば報酬の話はおじゃん、そして制裁を受けてもらう」
「おーけー?」
煙をふかしながら語る彼女の言には、NOと言わせない確かな圧があった。
もとより追い詰められたあなたにはYES以外に返答の余地はないだろう。
>PCの返答(YESの想定)
あなたの返答に彼女は一息煙を吐き出すと、コクリと頷く。

「じゃあ早速依頼の話に移ろう」
「ちょうど一つ、手軽な依頼がある」
そう言うと彼女は足元をガサゴソとあさり、一つの箱を取り出す。
彼女がそれを開けるとそこには、ずいぶん古びた女児向けと思われる赤い靴が収められていた。

「依頼は至極単純、この靴を履くこと」
「別にトンチじゃない、かかとを踏んでもらってもOK、ただ足を靴に通せばいい」
「それができれば報酬100万」

「受ける?受けない?」
「返事は2つに一つ」
そう言うと彼女は短くなったタバコを灰皿に押し当て、あなたに視線を向ける。
🔽依頼を受けない場合
シナリオ終了になります。
あらかじめ依頼を受けないといけない動機づけをしたうえで、この場で依頼を受けないとセッション終了の上、(借金等で)PCも破滅する旨を伝えて選択をしてもらってください。
>PCの返答(YESの想定)

「おーけー」
「ではこれを」
そう言って彼女は件の箱をあなたに差し出す。
改めて靴を見る。
その靴は一見、ただの古びた女児向けの靴に見える。
だが、よく見ると、その表面には長い年月を経たかのような擦り傷が無数に走り、使い込まれた跡が色濃く残っている。
赤色も、もともとは鮮やかだったのかもしれないが、今はくすんでいて、その退色した色合いが異様さを増している。
だが、単に古びた靴というわけではなかった。その靴には説明できないほどの不穏な雰囲気が漂っている。
見る者の目を引き、なぜか視線を逸らせない。
靴自体は無害そうに見えるのに、触れてはいけない、いや、触れたくないという強い衝動が胸の奥に生まれる。
さて、あなたの行動や如何に?
🔽何か質問をする場合

「依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「これくらいは見逃すが、あまりしつこいようなら制裁に移るぞ」
SANc:0/1
🔽靴をはかない場合
いつまで経っても靴をはかない様子のあなたを見かねて女性が声を上げる。

「依頼を投げ出すべからず」
「これ以上まごまごしているようなら依頼不履行と見て制裁に移るが…」
その目には一欠片の慈悲も、ためらいの色も見て取れない。
殺気すら感じさせない無機質な瞳に、あなたの肝が凍え背筋に冷たいものが走る。
SANc:1/1D3
どうやら覚悟を決めるしか無いらしい。
差し出された古びた赤い靴を手に取ったとき、心の中に広がるのは嫌悪感だった。
この靴を履くなんて、正気の沙汰ではないが、そもそも正気であればこのような場所に訪れていない。
全ては報酬のためだと自分に言い聞かせ、しぶしぶ足を差し込むことにした。
明らかにサイズが合わない小さな女児向けの靴に、大人のあなたが足を入れるのは、どう考えても無理がある。
かかとがうまく入らず、無理やり踏みつける形で何とか履きこなそうとする。
足に馴染まない不快な感触がじわじわと伝わり、心うちで思わず舌打ちをする。
足先だけねじ込んだが、それでも靴はあまりにも小さく、足は窮屈で痛む。

「依頼達成だな」
「ほら、これが報酬だ」
そう言ってポンと手渡されたのは、現実で余り見る機会のない束にされた一万円札。
あなたが危険に身を投じてまで手に入れたかった、待望の大金だ。

「毎度のことながら、後からの苦情は受け付けない」
「確認するなら今すると良い」
「それが終わればとっとと帰ることだ」
あなたがそうして女性とやり取りをしたり、報酬の確認をしたりして、再び靴に目をやると奇妙な事態に陥っていた。
あの赤い靴がぴたりと足にフィットしていたのだ。
まるで最初から自分のために作られたかのように、靴は足にぴったりと吸い付いている。
どうやってこんなに自然にフィットしたのか、理解できない。
かかとが収まっていないことに苛立っていたはずなのに、今ではまるで違和感すらなかった。
いや、違和感がなかったのはほんの一瞬のことだった。
突然、靴がぎりぎりと足を締め付け始めた。
靴自体が縮んでいくように、足を圧迫する感覚がじわじわと強くなる。
最初は軽い圧迫感だったが、次第に痛みが鋭くなり、まるで足の骨が潰されるかのような激痛が走った。
靴の中で足が縮んでいくような感覚。
足の指先がぎゅうぎゅうと詰め込まれ、まるで靴が自分に合うように足を強制的に変えようとしているかのようだった。
あなたは足を引き抜こうとしたが、靴はまるで足に吸い付いたかのようにびくともしない。
圧力は増す一方で、足全体が圧縮され、潰されていくような痛みに息が詰まる。
足がこの小さな靴の形に無理やり変えられていく感覚に、冷や汗が背中を伝う。
そうしているうちに痛みは徐々に強くなる。
見れば傍目にもわかるほどに足のサイズが縮んでいる。
今、靴の中がどうなっているのか、想像もしたくない。
SANc:1/1D3
DEX-25 (6版は-5)
※対象は赤い靴を履いているPCのみ
※DEXは0以下にならない
🔽靴を脱ごうとする場合
靴の異様な締め付けに気づき、あなたはすぐにそれを脱ごうとする。
だが、いくら足を引き抜こうとしても、靴はまるで吸い付いたようにびくともしない。
両手で靴を掴み、強引に引っ張ろうとするが、かえってその締め付けが一層強まるばかりだ。
🔽靴を壊そうとする場合
焦りが頂点に達し、あなたはもはや手段を選ばず、靴を破壊して脱ぎ捨てようと決意する。
何か固い物を手に取り、靴に向かって強く叩きつける。
だが、その瞬間、鋭い痛みが足を貫いた――まるで靴そのものに神経が通っているかのように。
靴に触れるたび、足から全身へ電流のように激しい痛みが走り、思わず身を縮める。
靴はまるであなたの肉体の一部となっているようだった。
靴の外側に何度も強打を加えるが、靴には全く変化がない。
まるで頑丈な鎧のように、表面には傷一つつかない。
しかし、痛みだけは容赦なく襲いかかる。
靴に力を加えるたび、足が悲鳴を上げ、骨の奥まで激痛が広がる。
何をしても靴には傷一つ付かず、痛みだけが増していく。
その痛みは足の骨が砕かれるかのように鋭く、抜け出そうとすればするほど、その呪いは深まっていくのだった。
SANc:1/1D4
HP-1
※対象は赤い靴を履いているPCのみ
※DEXは0以下にならない

「さて無事依頼も完了したな」
「用が済んだら帰っとくれ、お帰りはあちらだ」
そう言って女性は顎で出口を指し示す。
その顔にあなたへの心配の色などまるで無い。
至極当然といった様子で淡々と退出を促す。

「それじゃ、生きていればまたのご来店を」
無表情にそういう彼女は、既に君彼目線を外し手元の本へと目線を落としている。
彼女にとってはこれが日常なのだろう、依頼を完了した君のことなど既に眼中にないようだ。
君は痛む足を引きずり、店を後にする。
1-3. 突然の贈り物
ある日のこと、あなたは街を歩きながら何気ない日常を享受していた。
午後の澄み切った空気の中、いつものように通りを歩き、行き交う人々の中に溶け込んでいた。
耳には遠くから聞こえる車の音と、雑踏のざわめきがぼんやりと響いている。
だが、次の瞬間、何の前触れもなく突然の衝撃が背後から襲ってきた。
気づく間もなく、体がぐらりと傾き、視界が揺れた。
瞬間的に背中に走った痛みと、地面に倒れ込む感覚が同時に襲いかかる。
頭が打たれ、意識が遠のく中、何かが聞こえた気がした。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
その声は遠くかすれていて、誰のものかもはっきりせず、意識する間もなく暗闇の中に沈み込むように意識が沈む。
そして、次に目を開いた時、頭がぼんやりして、何が起きたのかすぐには理解できなかった。
あなたは覚えのない場所に居た、ここは地下街…だろうか?
閑散とし、殆どの店にはシャッターが降りている。
わずかに人もいるが、それらは誰も倒れていたあなたに興味を持っていないようだ。
ぼんやりあたりを眺めていると、突如見覚えのない派手な色が視界に収まる。
その方向を見やれば、見覚えのない古びた赤い靴が自分の足に履かされていることに気がつく。
どうしてこんな靴を履いているのか、なぜここにいるのか、答えは何も見つからないまま、ただ戸惑いと不安が胸を締め付ける。
突然、靴がぎりぎりと足を締め付け始めた。
靴自体が縮んでいくように、足を圧迫する感覚がじわじわと強くなる。
最初は軽い圧迫感だったが、次第に痛みが鋭くなり、まるで足の骨が潰されるかのような激痛が走った。
靴の中で足が縮んでいくような感覚。
足の指先がぎゅうぎゅうと詰め込まれ、まるで靴が自分に合うように足を強制的に変えようとしているかのようだった。
あなたは足を引き抜こうとしたが、靴はまるで足に吸い付いたかのようにびくともしない。
圧力は増す一方で、足全体が圧縮され、潰されていくような痛みに息が詰まる。
足がこの小さな靴の形に無理やり変えられていく感覚に、冷や汗が背中を伝う。
そうしているうちに痛みは徐々に強くなる。
見れば傍目にもわかるほどに足のサイズが縮んでいる。
今、靴の中がどうなっているのか、想像もしたくない。
SANc:1/1D4
DEX-25 (6版は-5)
🟡KP向け:この導入後のシナリオについて
基本的に狂バイトからの導入を想定しているため、今後のシナリオ中で、報酬や出費に関する記述が散見されるかと思います。
この導入ルートではそれらは関係がないため、適宜読み飛ばしつつ進行してください。
1-2. (補足)女性に襲いかかった場合
何を思ったか、あなたは突如、女性に襲いかかった。
激しい感情に突き動かされ、力任せに手を伸ばしたその瞬間、周囲がまるで反応するかのように、一瞬で暗闇に包まれた。
明かりが消え去り、空間そのものが黒い靄に覆われるように、視界は急激に閉ざされる。
女店主の姿は闇の中で徐々にぼやけ、彼女の輪郭が崩れ、影のようになって闇に溶け込んでいく。
その姿はあっという間に見えなくなり、まるで彼女が最初から存在しなかったかのようだ。
しかし、彼女が消えた後も、闇の中で何かが蠢いているような気配が感じられ、恐怖と後悔が胸を締め付ける。

「確かに店員を襲ってはいけないというルールはない」
「しかしそれは、君たち人の世で当たり前のルールではないのかい?」
どこからともない闇の中から、女性の声が聞こえる。
その声はひどく冷淡で、暗闇とともに君の背筋を凍りつかせる。

「それ以前に…」
「自分以上の強者に逆らってはいけないのはこの世界の摂理だ」
そして、その闇はあなた自身にも容赦なく襲いかかる。
手足が動かなくなり、体が闇に絡め取られ、少しずつ重力が消えていく感覚。
まるで自身の存在が溶かされていくように、意識が薄れていくのを感じる。
闇は冷たく、湿った手であなたの体をゆっくりと飲み込み、あなたは逃れる術もなく、ただ徐々に自分自身を失っていく。
足元から体が崩れ、最後に残ったのは、消えゆく意識の中での後悔と恐怖。
それもやがて闇に溶け、すべてが静寂の中へと吸い込まれ、その場にはもはや何も残るものは居なかった。
>PCロスト