🟡KP向け:シナリオ中の略称
RP :ロールプレイのことです
SANc :SANチェックのことです
導入
🟡KP向け:導入の分岐について
本シナリオは狂バイトという、高額報酬のために危険な神話的事象に自ら挑むシチュエーションで遊べるシナリオのシリーズの一つとなっています。
このシリーズはシリーズ間を順不同で遊ぶことができます。
🟡KP向け:複数PCの場合の導入ついて
今回のシナリオは複数人依頼を受注することができます。
参加するPCで連れ立って斡旋所へ向かってください。
-1A. はじめての狂バイト
寂れた地下街の入り口に立った瞬間、薄暗い蛍光灯がちらちらと不安定な光を放つ。
シャッターが降りた店がずらりと並び、そこかしこに錆びついた看板が無造作に転がっている。
あなたの足音が冷たいコンクリートの通路に響き渡る。人影はほとんどなく、時折見かけるのは怪しげな雰囲気を漂わせる外国人が数人、店の前で煙草をふかしているくらいだ。
彼らの視線がちらっとこちらを向くが、すぐにまた元の会話に戻る。
地下街全体が長い間忘れ去られていたような、時間が止まったような感覚に包まれている。
あなたはさらに奥へと歩みを進める。周囲の空気が次第に重くなり、暗闇が深まっていくのを感じる。
照明も次第に弱くなり、道筋はぼんやりとしか見えない。それでも、目的の場所を見つけるべく足を止めることなく、薄暗いシャッター街を進み続ける。
奥へ進むごとに、何かが潜んでいるような、得体の知れない気配が肌にまとわりついてくる。
その空気に、背筋がひやりとするが、何もない――いや、少なくとも目にはなにも見えない。
奥に進むに連れ足元を照らす照明の光が少しずつ増えてきた。
薄暗い中、その光が不気味に輝き、周囲の陰鬱な雰囲気を一層際立たせる。
そして、最奥に辿り着いた時、そこには場違いなほど鮮やかなネオンの看板が、ひときわ目を引くように輝いていた。
他の店が廃れたシャッターに覆われている中、この店だけが異質な存在感を放っている。
看板に書かれた文字は既に風化して久しいため、何を意味するのかは分からない。
だが、その怪しげな光に誘われるように、あなたはその扉の前に立ち止まる。
店の扉を開けると、まばゆいネオンの光があなたを迎える。
薄暗い地下街とは対照的に、この店の中は怪しい色の光で満たされ、まるで異国の地に足を踏み入れたような感覚だ。
だが、その輝きの中に漂うのは何とも言えない不穏さ。
派手な照明が部屋の隅々まで照らしているにもかかわらず、どこか影がつきまとっているような錯覚を覚える。
カウンターの奥には、スーツに身を包んだ女性の姿が見える。
黒いサングラスが目元を隠しているため、その表情は全く読めない。
椅子に深く腰掛け、カウンターに足を投げ出すその姿は、何事にも動じないような風格と、有無を言わさぬ威圧感を感じる。

「ようこそ、名もなきバイト斡旋所へ」
店内の様子に戸惑い、佇むあなたに、女性が声をかける。
彼女のスーツの肩にかかった髪が一瞬ネオンの光を反射し、なんとも怪しい光を放った。

「こんな場所に来たということは既知とは思うが、仕事前に説明する決まりでね」
「ここのことを説明させてもらおう」
彼女はそう言いながら、サングラス越しにあなたを値踏みするように見つめてくる。

「まずここはバイトの斡旋所」
「表沙汰にできないような仕事を色々扱っている」
「危険なものがほとんどだが、その分報酬も桁違いと思ってもらっていい」

「ここでの決まりごとは3つ」
「ひとつ、依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「ふたつ、依頼を途中で投げ出すべからず」
「みっつ、依頼のことを無関係の人間に他言するべからず、ただし依頼を分担・協力するための情報共有は可能だ」

「これさえ守ってくれれば出自、動機一切は問わない」
「破れば報酬の話はおじゃん、そして制裁を受けてもらう」
「おーけー?」
煙をふかしながら語る彼女の言には、NOと言わせない確かな圧があった。
もとより追い詰められたあなたにはYES以外に返答の余地はないだろう。
>PCの返答(YESの想定)
あなたの返答に彼女は一息煙を吐き出すと、コクリと頷く。

「じゃあ早速依頼の話に移ろう」
「いい感じの依頼が一つある」
そう言うと彼女は机の上に雑多に広がった書類をガサガサとあさり、やがて一枚の書類を選び出す。
それを広げてみせると、そこには見知らぬ村の情報が載っていた。

「分守村(ぶんかみむら)という村がある」
「ここから車で5時間はかかる陸の孤島だ」

「そのドの付く田舎で、祭りの手伝いをしてほしいとの依頼が来ている」
「詳細は現地で村長から聞く手筈になっている」

「前金25万、依頼達成でさらに25万」
「一人頭だ、どうする?」
そう言うと彼女は短くなったタバコを灰皿に押し当て、あなたに視線を向ける。
🔽分守村について思い出そうとする場合
知識、アイデア、オカルト、歴史、如何な技能を使っても思い当たらない。
🔽依頼を受けない場合
シナリオ終了になります。
あらかじめ依頼を受けないといけない動機づけをしたうえで、この場で依頼を受けないとセッション終了の上、(借金等で)PCも破滅する旨を伝えて選択をしてもらってください。
>PCの返答(YESの想定)

「おーけー」
「ではまずこれは手付金だ」
そう言ってポンと手渡されたのは、現実で余り見る機会のない束にされた一万円札。
あなたが危険に身を投じてまで手に入れたかった、待望の大金だ。
🔽お金を確認する場合
確かに一人頭25万ある
更に彼女は手に持った紙を一枚こちらに差し出す。
そこには分守村の地図が載っていた。
都心から遠く離れ、周囲を山に囲まれたまさに陸の孤島と言える場所のようだ。

「明日の正午には村に来てほしいとのことだ」
「公共交通機関は通ってないから足は自分で確保してくれ」

「準備に2日、祭りに1日、3日間の仕事になるが」
「宿と食事は向こうで持ってくれるとのことだ」

「仕事が済めば村長から完了報告がこちらに届き、またここで残りの報酬を手渡す手筈になっている」
「依頼帰りにまたここによってくれ」
「説明は以上」
話は終わりとばかりに店員は会話を打ち切る。
どうやらこれ以上の説明は期待できなさそうだ。
🔽何か質問をする場合

「依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「今回は見逃すが、あまりしつこいようなら制裁に移るぞ」
SANc:0/1
>店を出る

「それじゃ、またのご来店を」
店員は無愛想にそう言ってあなたを送り出す。
その視線は既に手元の本にすわれており、あなたへの興味は失われているようだ。
-1B. 狂バイト再び
寂れた地下街の入り口に立った瞬間、薄暗い蛍光灯がちらちらと不安定な光を放つ。
シャッターが降りた店がずらりと並び、そこかしこに錆びついた看板が無造作に転がっている。
あなたの足音が冷たいコンクリートの通路に響き渡る。人影はほとんどなく、時折見かけるのは怪しげな雰囲気を漂わせる外国人が数人、店の前で煙草をふかしているくらいだ。
彼らの視線がちらっとこちらを向くが、すぐにまた元の会話に戻る。
地下街全体が長い間忘れ去られていたような、時間が止まったような感覚に包まれている。
あなたはさらに奥へと歩みを進める。周囲の空気が次第に重くなり、暗闇が深まっていくのを感じる。
照明も次第に弱くなり、道筋はぼんやりとしか見えない。それでも、目的の場所を見つけるべく足を止めることなく、薄暗いシャッター街を進み続ける。
奥へ進むごとに、何かが潜んでいるような、得体の知れない気配が肌にまとわりついてくる。
その空気に、背筋がひやりとするが、何もない――いや、少なくとも目にはなにも見えない。
奥に進むに連れ足元を照らす照明の光が少しずつ増えてきた。
薄暗い中、その光が不気味に輝き、周囲の陰鬱な雰囲気を一層際立たせる。
そして、最奥に辿り着いた時、そこには場違いなほど鮮やかなネオンの看板が、ひときわ目を引くように輝いていた。
他の店が廃れたシャッターに覆われている中、この店だけが異質な存在感を放っている。
看板に書かれた文字は既に風化して久しいため、何を意味するのかは分からない。
だが、その怪しげな光に誘われるように、あなたはその扉の前に立ち止まる。
店の扉を開けると、まばゆいネオンの光があなたを迎える。
薄暗い地下街とは対照的に、この店の中は怪しい色の光で満たされ、まるで異国の地に足を踏み入れたような感覚だ。
だが、その輝きの中に漂うのは何とも言えない不穏さ。
派手な照明が部屋の隅々まで照らしているにもかかわらず、どこか影がつきまとっているような錯覚を覚える。
カウンターの奥には、スーツに身を包んだ女性が立っている。
黒いサングラスが目元を隠しているため、その表情は全く読めない。
椅子に深く腰掛け、カウンターに足を投げ出すその姿は、何事にも動じないような風格と、有無を言わさぬ威圧感を感じる。

「ようこそ、名もなきバイト斡旋所へ」
「またの来店、嬉しく思うよ」
店内の様子に戸惑い、佇むあなたに、女性が声をかける。
彼女のスーツの肩にかかった髪が一瞬ネオンの光を反射し、なんとも怪しい光を放った。

「さて、既知のこととは思うが決まりなんでね」
「ここのルールを説明させてもらおう」

「ここでの決まりごとは3つ」
「ひとつ、依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「ふたつ、依頼を途中で投げ出すべからず」
「みっつ、依頼のことを無関係の人間に他言するべからず、ただし依頼を分担・協力するための情報共有は可能だ」

「これさえ守ってくれれば出自、動機一切は問わない」
「破れば報酬の話はおじゃん、そして制裁を受けてもらう」
「おーけー?」
煙をふかしながら語る彼女の言には、NOと言わせない確かな圧があった。
もとより追い詰められたあなたにはYES以外に返答の余地はないだろう。
>PCの返答(YESの想定)
あなたの返答に彼女は一息煙を吐き出すと、コクリと頷く。

「じゃあ早速依頼の話に移ろう」
「いい感じの依頼が一つある」
そう言うと彼女は机の上に雑多に広がった書類をガサガサとあさり、やがて一枚の書類を選び出す。
それを広げてみせると、そこには見知らぬ村の情報が載っていた。

「分守村(ぶんかみむら)という村がある」
「ここから車で5時間はかかる陸の孤島だ」

「そのドの付く田舎で、祭りの手伝いをしてほしいとの依頼が来ている」
「詳細は現地で村長から聞く手筈になっている」

「前金25万、依頼達成でさらに25万」
「一人頭だ、どうする?」
そう言うと彼女は短くなったタバコを灰皿に押し当て、あなたに視線を向ける。
🔽分守村について思い出そうとする場合
知識、アイデア、オカルト、歴史、如何な技能を使っても思い当たらない。
🔽依頼を受けない場合
シナリオ終了になります。
あらかじめ依頼を受けないといけない動機づけをしたうえで、この場で依頼を受けないとセッション終了の上、(借金等で)PCも破滅する旨を伝えて選択をしてもらってください。
>PCの返答(YESの想定)

「おーけー」
「ではまずこれは手付金だ」
そう言ってポンと手渡されたのは、現実で余り見る機会のない束にされた一万円札。
あなたが危険に身を投じてまで手に入れたかった、待望の大金だ。
🔽お金を確認する場合
確かに一人頭25万ある
更に彼女は手に持った紙を一枚こちらに差し出す。
そこには分守村の地図が載っていた。
都心から遠く離れ、周囲を山に囲まれたまさに陸の孤島と言える場所のようだ。

「明日の正午には村に来てほしいとのことだ」
「公共交通機関は通ってないから足は自分で確保してくれ」

「準備に2日、祭りに1日、3日間の仕事になるが」
「宿と食事は向こうで持ってくれるとのことだ」

「仕事が済めば村長から完了報告がこちらに届き、またここで残りの報酬を手渡す手筈になっている」
「依頼帰りにまたここによってくれ」
「説明は以上」
話は終わりとばかりに店員は会話を打ち切る。
どうやらこれ以上の説明は期待できなさそうだ。
🔽何か質問をする場合

「依頼に関する一切の質問・詮索を行うべからず」
「今回は見逃すが、あまりしつこいようなら制裁に移るぞ」
SANc:0/1
>店を出る

「それじゃ、またのご来店を」
店員は無愛想にそう言ってあなたを送り出す。
その視線は既に手元の本に座れており、あなたへの興味は失われているようだ。
-2. (補足)女性に襲いかかった場合
何を思ったか、あなたは突如として目の前の女性に襲いかかった。
手を伸ばした瞬間、彼女は無言でこちらを見返し、その無表情がかすかに歪んだかのように見えた。
女性はあなたが襲いかかるとともに、バランスを崩し、後ろ手に倒れ込む。
そのまま後頭部からドクドクと鮮血を流し、彼女は物言わぬ物体と成り果てた。
しかし奇妙なことに、彼女が死してなお、流れる血は勢いが衰えない。
血はまるで蛇口を全開にしたかのように勢いよく溢れ出し、店内に広がっていく。
床に零れた血はまるで生き物のように広がり続け、床一面を真っ赤に染める。
それだけで終わらない。溢れ出た血は一瞬で床に浸透し、まるで地面そのものが飲み込まれていくように、あなたの足元を奪っていった。
足を動かそうとしても、まるで底なし沼のように足がすでに血に呑み込まれていた。
恐怖の感覚が一気に押し寄せたその瞬間、口からも鼻からも、粘りつくような鉄の臭いを感じる。
息をするたびに、鼻孔に血が入り込み、喉を直撃する。咳き込んでも、血がどんどん喉の奥に流れ込み、呼吸を塞ぐ。
呼吸をするたびに、その粘り気のある血が体内に入り込んでいく。
鼻の奥まで広がる血の感触は、まるで針が刺さるように痛みを伴い、肺の中に押し込まれていく感覚は、息をする度に体全体が圧迫されるようだ。
もがけばもがくほど、さらに多くの血が口と鼻から流れ込み、喉を塞ぎ、肺を圧迫する。
呼吸の苦しみが頂点に達し、酸素が足りないという本能的な恐怖が全身を駆け巡る。
しかし、足元から血がますます浸食し、逃げ場はどこにもない。目の前は赤一色に染まり、意識がだんだんと薄れていく。
息を吸おうとすればするほど、肺の中に血が満たされ、酸素の代わりに血が詰まり、生命の息吹が押し流される。
全身の力が抜け、身体が重く沈む。最後には、自分の体がまるで押し潰されるような感覚に襲われ、すべてが赤と闇に包まれていく。
逃げられない。
何もできない。
永遠にも思える苦し身が続き、あなたは自分の意識が途切れるのを願わざるを得なかった。
そしてやがてその願いは叶うのであった。
>PCロスト