🟡KP向け:シナリオ中の略称


RP    :ロールプレイのことです
 SANc  :SANチェックのことです

🟡KP向け:秘匿処理上の注意


本シナリオではいい歳をした大人が魔法少女になって、正体を隠して戦うことをコンセプトにしています。
魔法少女の正体はPC同士でも秘密のため、KPは進行中下記の処理を徹底してください。
(9話以降は公開で処理に切り替えてもらって大丈夫です)

・キャラシの提出は個別に(DMなどで)行ってもらう
・事前に部屋公開を行わず、秘匿パートで駒を作ってPC同士が鉢合わせしないようにする
・元の姿でのロール(SANチェック等)は秘匿チャットで行う
・PC駒の名前をPC1、PC2に変更する(SAN値等更新時にメインチャットに名前が表示されるため)
・秘匿シーンの切り替え時にキャラ駒をしまうように指示する

🟡KP向け:描写の自由


シナリオ中、地の文やキャラのセリフを各所で記載しておりますが、あくまで描写例であり、当然ながらKP様の裁量で取捨・アレンジ好きにしていただき構いません。
好きな形でセッションにお役立ていただければ幸いです。

🟡KP向け:偽のタイトルコール


シナリオ開始時にタイトルコールを行う場合、0話時点では偽のタイトル(Dream Come True)を伝えてください。
真タイトルコールは、PCがふたりとも魔法少女(守護者)になったあと、1話開始前に行うとよいでしょう。

秘匿:PC1(一児の父)導入

-1A. 尊き日常


🟡KP向け:KPCのRP方針


ここでは、PC1と愛娘の日常を描写します。
じっくり時間をかけていいので、親子水入らずで絆を強め、PCが娘にしっかりと愛着を持てるようなRPを行ってください。

※愛娘はPC1へのクリスマスプレゼントを内緒で準備中のため、その手の話題ははぐらかそうとします
※望むのであれば商店街にはどのような店やサービスも生えてきます、とにかく日常を謳歌してください

見慣れた商店街はその装いを変え、カラフルなイルミネーションで輝いていた。
賑やかなクリスマスソングが流れ、人々の笑い声や話し声が絶え間なく響く。
クリスマス用の装いになった様々なショップが並び、軒先や店内には大小さまざまなクリスマスツリーが飾られていた。
ショーウィンドウにはきらびやかなオーナメントやリースが飾られ、光が反射して眩いばかりだ。
華やかなディスプレイが人々の興味を惹きつけ、立ち止まって見入る人の姿も見られた。

時はクリスマスを一週間前に控えた12月18日(日曜日)の午前時。
本日あなたは、午後から予定のある娘を駅まで見送るついでに、二人きりで近所の商店街へと繰り出した。
考えれば二人きりで当てもなく外出するなど久しぶりのことかもしれない。
あなたはこのかけがえのない時間をどのように過ごすだろうか?

▶商店街の施設例


・飲食店
・スイーツショップ
・カフェ
・アパレルショップ
・コスメショップ
・雑貨屋
・玩具店

▶娘と父の会話デッキ例


※話題に困りそうだったら適宜娘の方から会話を振ってあげてください

・昼ご飯をどうするか    :予定は午後からなので、この場で何か一緒に食べていってもらって大丈夫です
・今日の夕食について    :夕食までには帰るつもりなので、帰りに買ってくるものはないかなど聞いてもいいかもしれません
・クリスマスの予定     :娘は昼間は友人と遊んで、夜は家でPC1と過ごすつもりです
・母親との思い出      :亡くなった母さんとクリスマスの思い出がないか聞いて見てもいいかもしれません
・クリスマスに欲しいもの  :好きに決めて、場合によってはリクエストしてみてください
・クリスマスに食べたいもの :好きに決めて、場合によってはリクエストしてみてください
・学校生活についての報告  :仲の良い友だちとのことや、何気ない思い出などを語ってあげてもいいかもしれません
・進路についての相談    :進路に不安があれば相談してみるのもよいでしょう


🟡KP向け:切り上げて次のパートへ


日常生活を謳歌したら、良いタイミングで時間になったことにして、娘と別れてください。
娘を駅まで見送ったところで、次のパートへ移行します。


-2A. 突然のSOS


楽しい時間はあっという間。
娘と別れたことですっかり気分は落ち着き、心做しか周囲の喧騒も静まってしまったように感じる。
いや、気の所為ではない。周囲の喧騒は水をうったように静まり返り、あたりは無音の静寂が漂っている。
周囲には今なお沢山の人が行き交っており、自然に考えればその喧騒が全く聞こえないなどということはありえないだろう。

このような奇妙な状況に陥ったあなたはSANチェック。
 SANc:0/1 

そんな静寂の中、何処からかか弱い声が聞こえてくる。

「…けて」
「たす…けて」


よく通る甲高い子どものような、小動物のような声。
しかし、周囲を見渡してもそのような声を気にしている様子の人物は誰ひとり居ない。
あなたはなにかに導かれるようにして、その声の元へと歩みを進めてしまう。

🔽声のもとに向かわない場合


シナリオ終了になります。
PCも大切な人も街もすべて滅ぶ旨を暗に伝え、声に向かうように誘導してください。


声に導かれるままにたどり着いたのは、駅裏の路地だった。
人々の往来から外れたそこは、すぐそこの大通りには沢山の人が居るというのに、誰の気配も感じられない、現世から隔絶されたような不気味な場所だった。
しかし、路地の突き当りまで至っても、人影らしきものは見当たらない。

「たすけて…」
「だれか、あいつを…」
「ストレッツを止めて…」


先程よりもはっきりと声が聞こえる。
音源を探ると、路地の隅、ゴミ箱の脇に打ち捨てられた汚らしいぬいぐるみのようなものが目に入る。
いや、よくよく見るとそのぬいぐるみはかすかに震え、動いているようにも思える。
白い体毛に覆われたそれは、犬とも猫ともつかない容貌で、どちらかとうと子供向けの玩具のような容貌だ。

あなたが熱心に視線を送っていると、その生き物もこちらに気づいたようで、驚きの視線ととも声を投げかけてくる。

「あ、あなた…私が見えるカマー…?」


>PCのリアクション

「や、やっと見つけた…」
「夢の国の…世界の…救世主…!」


それなりに人生経験を積んできたあなたも、このような生物は初めて目にするだろう。
まして、喋る生き物など見たことも聞いたこともない。

このような未知の生物と出会ったあなたはSANチェック。
 SANc:0/1 

唖然とする様子のあなたに、謎の生物はなおも続ける。

「お、お願いカマー」
「私と一緒に、ストレッツと戦って!」
「このままじゃ、街が…!世界が…!」


その生物が必死に叫んだのと同時に、街中のスピーカーからけたたましい音楽が流れる。
それと同時に、なにもない宙空に何やら映像のようなものが映る。
そこには、ロボットとも人間ともつかない奇妙な人物?が写っていた。

「アプロヴァchを見ている不細工ちゃん達~!」
「こんにちわ!みんなのアイドルアプロヴァちゃんだよ☆彡」

「今回は緊急企画をお届け!その名も~」
「”ド田舎の駅貸し切って中に居た人間みんな閉じ込めてみた”」
「いえ~い☆」パチパチパチ


セルフ拍手の後、映像には見慣れた駅構内の様子が映し出される。
しかし、その様子は見知ったものとは大きく異なっていた。
駅にいる人間は皆、ケーブルのようなものでぐるぐるまきに拘束され、地面に倒れている。
そして、駅の出入口もすべて、同様にケーブルのようなものが覆い被さり、封鎖されてしまっている。

「今回はなんとこれだけじゃなくて、この動画が爆発的にバズることを祈って、30分後に駅ごと爆破しちゃうよ☆」
「爆破の様子も生配信するから、みんなそれまで#アプロヴァchをつけて拡散してね☆」

「それじゃまた30分後!」
「見てくれないとお前の家燃やしちゃうぞ☆」
「バイビ~!」


現実離れしたいたずらの類としか思えないふざけた映像。
しかし、あなたはその映像のワンシーンを見てその映像の釘付けになってしまっていた。
駅構内の人々を映し出された映像、その中に、見間違うことのない見知った人物の姿が写っているのを見つけてしまったのだ。

このような非現実的な映像を目撃し、更に愛娘の危機を知ってしまったあなたはSANチェック。
 SANc:0/1D3 


「ストレッツ…なんてひどいことを…」

「改めてお願いカマー」
「私と一緒に、ストレッツと戦って!」
「早くしないとあの人達、殺されちゃうカマー」


足を引きずりながら身を起こし、すがりつくような瞳でこちらを見据え、懇願してくる謎の生物。
その目は真剣で、真っ直ぐな瞳は異種族ながら感じ入るものがある。


🔽娘の元へ駆けつけようとする場合


「待ってカマー!」
「そのままいっても人間は絶対にストレッツに勝てないカマー」
「お願いだから話を聞いてほしいカマー」


実際に駆けつけた場合は、駅の出入口を塞ぐコードを切ることすらできず、どうやっても中にはいれません。

▶謎の生物との会話例



PL 君は何者?

「私はカマー」
「夢の国からこの世界を救う救世主を探しに来たカマー」


PL なぜ倒れていたのか

「あいつ…ストレッツを止めようとして…」
「でも私の力だけじゃどうにもならなかったカマー…」


PL 夢の国って?

「この世界と表裏一体の世界…」
「持ちつ持たれつの魔法の国カマー」
「く、詳しくは話すと長くなるカマー」


PL 救世主って?

「夢のカケラを使える選ばれた人間…」
「つまり、私が見えるあなたのことカマー」


PL ストレッツって?

「人々のストレス感情が具現化した化け物カマー」
「この世界や夢の国を破壊して、めちゃくちゃにしようとしてるカマー」


PL どうすれば娘を助けられる?

「この夢のカケラを使って変身するカマー」
「夢の守護者に変身すればあのストレッツを倒す力が手に入るカマー!」

※次のパートへ進む


-3A. 魔法少女誕生


差し出されたのは、見たこともないほど大振りなピンクの宝石を使った、子供用の玩具のような珍妙な道具だった。
手にしてみるとそれは羽のように軽く、まるでこの世の物質ではないかのようだ。

「準備ができたらそれを掲げて」
「”煌めけ、夢の光”」
「と叫ぶカマー」

「ただ、一度変身すればもう後戻りはできないカマー…」
「そのうえでもう一度お願いするカマー」

「どうか、変身して私と一緒にストレッツと戦ってほしいカマー」
「世界のため、人々のため、そして愛する人のため…」
「どうかお願いカマー…」


当人も無茶を言っている自覚はあるのだろう。
これまでと違ったしおらしい様子で彼女?は最後に付け加える。

>PCの覚悟を決めるRP

🔽断る場合


シナリオ終了になります。
PCも大切な人も街もすべて滅ぶ旨を暗に伝え、覚悟を決めて変身するように誘導してください。

意を決して宝石を掲げ、掛け声を上げる。

掛け声とともにピンク色の宝石が輝き始め、その瞬間まるで命を吸い取られるかのような衝撃が全身に走った。
宝石から伸びた無数のリボンが暴風のごとく巻きつき、あなたの体を締め上げていく。
全身が拘束するようにリボンが巻き付き、肉と骨を容赦なく圧迫するたびに、体が一段、また一段と小さくなっていくような感覚に陥る。

肺は圧力に押し潰され、息を吸い込むたびにただ苦痛だけが押し寄せる。
全身の筋肉が収縮し、骨がきしみ音を立てながら形を変えていく感覚は、耐えがたいまでの痛みと同時に異様な恐怖心を伴った。

頭蓋が押しつぶされ、頭が縮み、胴体が押しつぶされる中で、胸部だけが押し出されるように膨らむ。
その異様な変化を、あなたは何も出来ずに耐え忍ぶしかなかった。

痛みと圧迫感に耐えていると、やがてその圧迫感が急速に失われる。
めまいがする中、見下ろした自分の手は異様に小さく、周囲の景色がかつてよりも高く感じられる。
徐々に理解が追いつき、ようやく自分の体型が小柄な女性に変わっていることに気がつく。

異常なまでに軽く、華奢になった体に、まるで足が地についていないような浮遊感がある。
ふと脇にあったガラスを見ると、見知らぬ小柄な少女の姿が写っていた。
ガラスに映る少女は呆けた顔でこちらを見つめている。
少女は間近でこちらを見つめ、自分が動くとその少女も同様の動きをする。

数拍の後に、その少女が今の自分の姿であることを理解する。
それを理解した途端、自分の存在そのものが歪められたことを自覚し、胸の奥に虚無が広がっていく。

自身の存在を強制的に歪められたあなたはSANチェック。
 SANc:1/1D4 

「やった!変身成功カマー!」

喜ぶカマーの声が聞こえるが、その姿はどこにも見当たらない。
しかし音のする方を見れば、それが胸元についたピンクの宝石から響いていることに気がつく。

「これでストレッツに対抗できるカマー!」

「宝石に手を当てて、意識を集中してみるカマー」
「そうすればこの力の使い方が自然と理解できるはずカマー!」


促されて意識すれば、たしかに自然とこの体の使い方が理解できる。
まるで、生まれついてからこの体で過ごしてきたかのようだ。
(いあ・ドリームステータスVer.1をPL1に開示)

いあ・ドリーム ステータスVer.1

🟡KP向け:素性秘匿指示の徹底


PCに対して、今後は自身の素性を秘匿することを徹底するように指示してください。
年頃の少女をRPするいい大人のRPをしてもらってください。

▶カマーとの会話例



「一つ注意があるカマー」
「守護者の素性は誰にもバレちゃいけないカマー」
「私以外誰にも、たとえ家族だろうと素性を明かしてはならないカマー!」

「変身前の年齢、性別、名前、容姿、職業!」
「素性に関わる一切を人に一切悟らせてはだめカマー!」
「あなたは夢の守護者”いあ・ドリーム”!」
「これを徹底するカマー!」


PL 容姿に合わない口調をする

「ちょっと!そんなんじゃすぐ素性がバレるカマー!」
「人間のことはそこまで良くわからないけど、この姿ならもっと可愛らしい話し方が似合うはずカマー!」


PL なぜ素性がバレてはいけないの?

「説明が難しいカマーけど」
「素性がバレると変身に使っている夢のエネルギーが暴走しやすくなるカマー」
「最悪自分の存在ごと消滅する可能性があるカマー」


PL なぜ名乗らないといけないの?

「夢の守護者としての責務カマー」
「名乗らないと夢のエネルギーが受け取れないカマー」


「ストレッツの場所はわかるカマー?」
「準備ができたら早速向かうカマー!」

言われてみれば、駅のホーム側、高架上の線路のほうから強大なエネルギーを感じるような気がする。
普段なら駅を介さず、そんな場所に向かうのは無謀だが、今の羽の生えたように軽い体なら一足飛びで向かうことができそうだ。
(空中を跳ねる、空を飛ぶなど好きな演出で向かってもらって構いません)


秘匿:PC2(疲れたOL)導入

-1B. 尊き日常


🟡KP向け:KPCのRP方針


ここでは、PC2と彼氏の日常を描写します。
じっくり時間をかけていいので、親子水入らずで絆を強め、PCが彼氏にしっかりと愛着を持てるようなRPを行ってください。

※彼氏はPC2へのクリスマスにサプライズでプロポーズを行おうと考えており、その手の話題ははぐらかしてきます
※望むのであれば商店街にはどのような店やサービスも生えてきます、とにかく日常を謳歌してください

見慣れた商店街はその装いを変え、カラフルなイルミネーションで輝いていた。
賑やかなクリスマスソングが流れ、人々の笑い声や話し声が絶え間なく響く。
クリスマス用の装いになった様々なショップが並び、軒先や店内には大小さまざまなクリスマスツリーが飾られていた。
ショーウィンドウにはきらびやかなオーナメントやリースが飾られ、光が反射して眩いばかりだ。
華やかなディスプレイが人々の興味を惹きつけ、立ち止まって見入る人の姿も見られた。

時はクリスマスを一週間前に控えた12月18日(日曜日)の午前時。
本日あなたは、午後から予定のある彼を駅まで見送るついでに、二人きりで近所の商店街へと繰り出した。
考えれば最近はめっきり忙しく、二人きりで当てもなく外出するなど久しぶりのことかもしれない。
あなたはこのかけがえのない時間をどのように過ごすだろうか?

▶商店街の施設例


・飲食店
・スイーツショップ
・カフェ
・アパレルショップ
・コスメショップ
・雑貨屋
・玩具店

▶彼女と彼氏の会話デッキ例


※話題に困りそうだったら適宜娘の方から会話を振ってあげてください

・昼ご飯をどうするか    :予定は午後からなので、この場で何か一緒に食べていってもらって大丈夫です
・今日の夕食について    :夕食までには帰るつもりなので、帰りに買ってくるものはないかなど聞いてもいいかもしれません
・クリスマスの思い出    :これまでどのようなクリスマスを過ごしてきたのか二人で懐かしむのも良いかもしれません
・クリスマスに欲しいもの  :クリスマスデートのプランはまだ迷っているのでしれっと聞き出してみるのも良いかもしれません
・クリスマスに食べたいもの :クリスマスデートのプランはまだ迷っているのでしれっと聞き出してみるのも良いかもしれません
・それぞれの仕事について  :職場の愚痴や近況などを報告し合うのも良いかもしれません
・年末年始の予定      :仕事納めの時期、里帰りをするかなど


🟡KP向け:切り上げて次のパートへ


日常生活を謳歌したら、良いタイミングで時間になったことにして、彼氏と別れてください。
彼氏を駅まで見送ったところで、次のパートへ移行します。


-2B. 突然のSOS


楽しい時間はあっという間。
彼と別れたことですっかり気分は落ち着き、心做しか周囲の喧騒も静まってしまったように感じる。
いや、気の所為ではない。周囲の喧騒は水をうったように静まり返り、あたりは無音の静寂が漂っている。
周囲には今なお沢山の人が行き交っており、自然に考えればその喧騒が全く聞こえないなどということはありえないだろう。

このような奇妙な状況に陥ったあなたはSANチェック。
 SANc:0/1 

そんな静寂の中、何処からかか弱い声が聞こえてくる。

「…けて」
「たす…けて」


よく通る甲高い子どものような、小動物のような声。
しかし、周囲を見渡してもそのような声を気にしている様子の人物は誰ひとり居ない。
あなたはなにかに導かれるようにして、その声の元へと歩みを進めてしまう。

🔽声のもとに向かわない場合


シナリオ終了になります。
PCも大切な人も街もすべて滅ぶ旨を暗に伝え、声に向かうように誘導してください。


声に導かれるままにたどり着いたのは、駅裏の路地だった。
人々の往来から外れたそこは、すぐそこの大通りには沢山の人が居るというのに、誰の気配も感じられない、現世から隔絶されたような不気味な場所だった。
しかし、路地の突き当りまで至っても、人影らしきものは見当たらない。

「たすけて…」
「だれか、あいつを…」
「ストレッツを止めて…」


先程よりもはっきりと声が聞こえる。
音源を探ると、路地の隅、ゴミ箱の脇に打ち捨てられた汚らしいぬいぐるみのようなものが目に入る。
いや、よくよく見るとそのぬいぐるみはかすかに震え、動いているようにも思える。
黒い体毛に覆われたそれは、犬とも猫ともつかない容貌で、どちらかとうと子供向けの玩具のような容貌だ。

あなたが熱心に視線を送っていると、その生き物もこちらに気づいたようで、驚きの視線ととも声を投げかけてくる。

「き、きみ…僕が見えるナッシュ…?」


>PCのリアクション

「や、やっと見つけた…」
「夢の国の…世界の…救世主…!」


それなりに人生経験を積んできたあなたも、このような生物は初めて目にするだろう。
まして、喋る生き物など見たことも聞いたこともない。

このような未知の生物と出会ったあなたはSANチェック。
 SANc:0/1 

唖然とする様子のあなたに、謎の生物はなおも続ける。

「お、お願いナッシュ」
「僕と一緒に、ストレッツと戦って!」
「このままじゃ、街が…!世界が…!」


その生物が必死に叫んだのと同時に、街中のスピーカーからけたたましい音楽が流れる。
それと同時に、なにもない宙空に何やら映像のようなものが映る。
そこには、ロボットとも人間ともつかない奇妙な人物?が写っていた。

「アプロヴァchを見ている不細工ちゃん達~!」
「こんにちわ!みんなのアイドルアプロヴァちゃんだよ☆彡」

「今回は緊急企画をお届け!その名も~」
「ド田舎の駅貸し切って中に居た人間みんな閉じ込めてみた」
「いえ~い☆」パチパチパチ


セルフ拍手の後、映像には見慣れた駅構内の様子が映し出される。
しかし、その様子は見知ったものとは大きく異なっていた。
駅にいる人間は皆、ケーブルのようなものでぐるぐるまきに拘束され、地面に倒れている。
そして、駅の出入口もすべて、同様にケーブルのようなものが覆い被さり、封鎖されてしまっている。

「今回はなんとこれだけじゃなくて、この動画が爆発的にバズることを祈って、30分後に駅ごと爆破しちゃうよ☆」
「爆破の様子も生配信するから、みんなそれまで#アプロヴァchをつけて拡散してね☆」

「それじゃまた30分後!」
「見てくれないとお前の家燃やしちゃうぞ☆」
「バイビ~!」


現実離れしたいたずらの類としか思えないふざけた映像。
しかし、あなたはその映像のワンシーンを見てその映像の釘付けになってしまっていた。
駅構内の人々を映し出された映像、その中に、見間違うことのない見知った人物の姿が写っているのを見つけてしまったのだ。

このような非現実的な映像を目撃し、更に愛する彼の危機を知ってしまったあなたはSANチェック。
 SANc:0/D3 


「ストレッツめ…なんてひどいことを…」

「改めてお願いナッシュ」
「僕と一緒に、ストレッツと戦って!」
「早くしないとあの人達、殺されちゃうナッシュ」


足を引きずりながら身を起こし、すがりつくような瞳でこちらを見据え、懇願してくる謎の生物。
その目は真剣で、真っ直ぐな瞳は異種族ながら感じ入るものがある。


🔽娘の元へ駆けつけようとする場合


「待つナッシュ!」
「そのままいっても人間は絶対にストレッツに勝てないナッシュ」
「お願いだから話を聞いてほしいナッシュ」


実際に駆けつけた場合は、駅の出入口を塞ぐコードを切ることすらできず、どうやっても中にはいれません。

▶謎の生物との会話例



PL あなたは何者?

「僕はナッシュ」
「夢の国からこの世界を救う救世主を探しに来たナッシュ」


PL なぜ倒れていたのか

「あいつ…ストレッツを止めようとして…」
「でも僕の力だけじゃどうにもならなかったナッシュ…」


PL 夢の国って?

「この世界と表裏一体の世界…」
「持ちつ持たれつの魔法の国ナッシュ」
「く、詳しくは話すと長くなるナッシュ」


PL 救世主って?

「夢のカケラを使える選ばれた人間…」
「つまり、僕が見える君のことナッシュ」


PL ストレッツって?

「人々のストレス感情が具現化した化け物ナッシュ」
「この世界や夢の国を破壊して、めちゃくちゃにしようとしてるナッシュ」


PL どうすれば彼を助けられる?

「この夢のカケラを使って変身するナッシュ」
「希望の守護者に変身すればあのストレッツを倒す力が手に入るナッシュ!」

※次のパートへ進む


-3B. 魔法少女誕生


差し出されたのは、見たこともないほど大振りな青の宝石を使った、子供用の玩具のような珍妙な道具だった。
手にしてみるとそれは羽のように軽く、まるでこの世の物質ではないかのようだ。

「準備ができたらそれを掲げて」
「”輝け、希望の光”」
「と叫ぶナッシュ」

「ただ、一度変身すればもう後戻りはできないナッシュ…」
「そのうえでもう一度お願いするナッシュ」

「どうか、変身して僕と一緒にストレッツと戦ってほしいナッシュ」
「世界のため、人々のため、そして愛する人のため…」
「どうかお願いナッシュ…」


当人も無茶を言っている自覚はあるのだろう。
これまでと違ったしおらしい様子で彼?は最後に付け加える。

>PCの覚悟を決めるRP

🔽断る場合


シナリオ終了になります。
PCも大切な人も街もすべて滅ぶ旨を暗に伝え、覚悟を決めて変身するように誘導してください。

意を決して宝石を掲げ、掛け声を上げる。

掛け声とともに青色の宝石が輝き始め、その瞬間まるで命を吸い取られるかのような衝撃が全身に走った。
宝石から伸びた無数のリボンが暴風のごとく巻きつき、あなたの体を締め上げていく。
全身が拘束するようにリボンが巻き付き、肉と骨を容赦なく圧迫するたびに、体が一段、また一段と小さくなっていくような感覚に陥る。

肺は圧力に押し潰され、息を吸い込むたびにただ苦痛だけが押し寄せる。
全身の筋肉が収縮し、骨がきしみ音を立てながら形を変えていく感覚は、耐えがたいまでの痛みと同時に異様な恐怖心を伴った。

頭蓋が押しつぶされ、頭が縮み、それに伴い体全体もキリキリと縮みあげられる。
その異様な変化を、あなたは何も出来ずに耐え忍ぶしかなかった。

痛みと圧迫感に耐えていると、やがてその圧迫感が急速に失われる。
めまいがする中、見下ろした自分の手は異様に小さく、周囲の景色がかつてよりも高く感じられる。
徐々に理解が追いつき、ようやく自分の体型が小柄な少女のものに変わっていることに気がつく。

体が異常なまでに軽く、引き締まった体が、これまで感じたこと無いほどしっかりと大地を踏みしめる感覚がある。
ふと脇にあったガラスを見ると、見知らぬ小柄な少女の姿が写っていた。
ガラスに映る少女は呆けた顔でこちらを見つめている。
少女は間近でこちらを見つめ、自分が動くとその少女も同様の動きをする。

数拍の後に、その少女が今の自分の姿であることを理解する。
それを理解した途端、自分の存在そのものが歪められたことを自覚し、胸の奥に虚無が広がっていく。
自身の存在を強制的に歪められたあなたはSANチェック。

 SANc:0/1D3 

「やった!変身成功ナッシュ!」

喜ぶナッシュの声が聞こえるが、その姿はどこにも見当たらない。
しかし音のする方を見れば、それが胸元についた青色の宝石から響いていることに気がつく。

「これでストレッツに対抗できるナッシュ!」

「宝石に手を当てて、意識を集中してみるナッシュ」
「そうすればこの力の使い方が自然と理解できるはずナッシュ!」


促されて意識すれば、たしかに自然とこの体の使い方が理解できる。
まるで、生まれついてからこの体で過ごしてきたかのようだ。
(いあ・ホープステータスVer.1をPL2に開示)

いあ・ホープ ステータスVer.1

🟡KP向け:素性秘匿指示の徹底


PCに対して、今後は自身の素性を秘匿することを徹底するように指示してください。
年頃の少女をRPするいい大人のRPをしてもらってください。

▶ナッシュとの会話例



「一つ注意があるナッシュ」
「守護者の素性は誰にもバレちゃいけないナッシュ」
「僕以外誰にも、たとえ恋人だろうと素性を明かしてはならないナッシュ!」

「変身前の年齢、性別、名前、容姿、職業!」
「素性に関わる一切を人に一切悟らせてはだめナッシュ!」
「君は希望の守護者”いあ・ホープ”!」
「これを徹底するナッシュ!」


PL 容姿に合わない口調をする

「ちょっと!そんなんじゃすぐ素性がバレるナッシュ!」
「人間のことはそこまで良くわからないけど、この姿ならもっと可愛らしい話し方が似合うはずナッシュ!」


PL なぜ素性がバレてはいけないの?

「説明が難しいナッシュけど」
「素性がバレると変身に使っている希望のエネルギーが暴走しやすくなるナッシュ」
「最悪自分の存在ごと消滅する可能性があるナッシュ」



PL なぜ名乗らないといけないの?

「希望の守護者としての責務ナッシュ」
「名乗らないと希望のエネルギーが受け取れないナッシュ」


「ストレッツの場所はわかるナッシュ?」
「準備ができたら早速向かうナッシュ!」

言われてみれば、駅のホーム側、高架上の線路のほうから強大なエネルギーを感じるような気がする。
普段なら駅を介さず、そんな場所に向かうのは無謀だが、今の羽の生えたように軽い体なら一足飛びで向かうことができそうだ。
(音速を超え走ってジャンプする、一足飛びにジャンプで向かうなど好きに演出で向かってもらって構いません)