1周目ループ
🟡KP向け:ループ上の注意
・ループのたびにHPとMPは全回復します(SAN値はそのままです)
・ループのたびにSANチェックが発生しますが、これに対し慣れは適用されません
・SAN値上限の更新(不定チェック用)を行うには、ループを一度行う必要があります
1-1. ループ開始
まばゆい閃光に包まれ視界がゆがむ中、何やら音楽が聞こえてくる。
この音楽は聞き覚えがある、天神様ゆかりのあの音楽だ。
やがて音楽に加え、人々の喧騒が聞こえてくる。
いつしか目が慣れ、目を開くと、驚くべき光景が目の前に広がっていた。
そこは見覚えのある太宰府駅前の光景だった。周囲は明るく人も多い。
先程までの夕暮れの天満宮の光景は影も形も見当たらなかった。
驚愕とともに、ただただ行き交う人々を眺めていると、手の甲に熱さを感じる。
見やれば手の甲に正の字が浮かんでいた。
勿論そんなものは書いた覚えも書かれた覚えもない。
混乱しているうちのその文字はすぅっと透けて消えてしまった。
そして驚愕すべき光景がもう一つ。
先程からなる音源の方を見やれば、見知った女性がちょうど懐からスマホを取り出した場面だった。 彼女は画面を確認し眉をしかめると、再びスマホを懐にしまって口を開く。

「すまん、出鼻がくじかれたな」
「早速だがまずは参道を案内しよう」
「この辺は最近は色んな店がでてて面白いぞ?」
「スイーツとかは歴史的には浅いかもだけど気にすんな!」
そう、眼の前に居るのは先程赤い海に沈んでいたはずの文子。
奇々怪々なこの状況に、君の常識が崩れる音がする。
SANc:1/1

「どうした?ボケーっとして?」
「昨日夜遊びしすぎてお疲れか?」
🔽ループしてきたことを伝える場合

「ループ…ループか…」
「道真公のお膝元だしそういうこともあるか…?」
「まぁ冗談じゃないってのはわかるよ、だから信じる」
🔽起きたこと(雷や黒い風)を伝える場合

「雷雲と雷か、まるで伝説に聞く天神様だな」
「しかし何だって京都じゃなくて太宰府にそんなものが?」
🔽恵子が文子を殺したと伝えるor殺したと疑ってると伝える場合

「恵子があたしを?ないない」
「あいつなら通り魔に刺された私の前で偶然包丁手に持ってるくらいの間の悪さはありそうだけどな」
>恨んでる様子だったと伝える

「恨み…心当たりないなぁ」
「多分どうでもいい恨み言だろう」

「状況はわかった」
「しかしこれからどうする?」
🟡KP向け:調査指針について
一周目はまだ情報不足であり、ここでは恵子の調査を行うと想定しています。
その他の情報を得たいと申し出があった場合は、適宜このあとの情報を先出しするなどして対応してください。
一定調査を進めると、恵子(藤原時平)から呼び出しがあり、文子が刺されるイベントが発生します。
🟡KP向け:調査を行おうとしない場合について
夢だと思うなどして、調査しない場合は観光ルートをなぞりながら、文子から様子がおかしいけどなにかあったのか?など詰めるようにしてください。
また、文子に何も教えない場合も、文子は職場からのLINE通話には応じず、恵子の呼び出しを一緒に受け話を聞くようにしてください。
🟡KP向け:文子を振り切ろうとする試みについて
電話に出るのを促す、何も言わずに文子を振り切ろうとするなどしても文子はPCたちの不審を見抜きついていきます。
別行動が可能になるのは6周目ループ以降になります。
1-2. 行動指針相談
◆次の方針についての話し合い
藤原恵子について調べたいと自発的に提案させるよう促してください。
(前情報がなさすぎてそれくらいしかやることがないと思いますが)
どうしても思いつかない場合は文子側から提案させます。

「んー気になるなら恵子の様子でも調べてみっか?」
「特段変わったことはないと思うけどなぁ」
1-3. 周辺からの聞き込み
幼稚園に向かってみると、幼稚園前で園児を遊ばせて歓談しているマダムたちの姿を認めることができる。
彼女たちや子どもたちからであれば恵子先生の話を聞くことができるかもしれない。
🔽園児たちに話を聞く場合
「恵子先生好きー」
「でも藤原だしきっと悪いことしてるんだよ?」
「そんなことないよー、なんでそんな事言うの?」
「僕ちょっと怖いかも…怒るとすごいの先生…」
「僕先生と結婚するのー」
大変有意義な情報を聞くことができる。
🔽マダムたちに話を聞く場合
→マダムたちからの情報収集へ
◆マダムからの情報収集ルール
・交渉技能に成功すると1d10を振り、でた目の情報が得られる
・交渉技能に失敗すると2d10を振り、でた目の情報が得られる
・PC間で順番に振り、合計4回聞き終わると終了
・同じ目がでた場合も振り直し等は行わない(マダムは同じ話を何度でもする)
出目 | 教えてもらえる情報 |
---|---|
1 | 度々奇妙な夢を見ることにちょっと悩んでいるらしい |
2 | 太宰府で藤原の名字という理由で、昔はいじめられていた時期があったらしい |
3 | 恵子先生は勤続6年目になるが、3年前くらいまでは怖い先生として有名だったらしい |
4 | 普段優しいが怒ると烈火のごとく怒り、執念深いらしい |
5 | 恵子先生はうめ組の担任だが、ほかの組の子たちからも慕われているらしい |
6 | 幼馴染の巫女さんと会うたびに口喧嘩をしているらしい |
7 | 仕事熱心だが定時にはダッシュで直帰するらしい |
8 | ばら組の寺門先生に告白されて断ったらしい |
9 | 園児からは恵子先生と呼ばれており、名字ではあまり呼ばれないらしい |
10 | 園児とおいかけっこしている時、胸がすごいらしい |
11 | ふじ組の橘先生はこの間不倫をして離婚調停中らしい |
12 | ばら組の寺門先生は40にして未だ女性と付き合ったことがないらしい |
13 | きく組の七海先生は今年に入ってもう10回遅刻したらしい |
14 | ひまわり組の雪深先生とはプライベートでも一緒に遊びに行く間柄らしい |
15 | もも組の前田先生とは一見仲よさげに見えるが犬猿の仲らしい |
16 | さくら組の南先生が度々ぽかするのをよくカバーしているらしい |
17 | 園長先生からの評価は高いが、園長先生のことは苦手らしい |
18 | 前任の小池先生は園内おめでた婚で引退したらしい |
19 | 幼稚園の先生以外では、ジャーナリストになりたかったらしい |
20 | 誰かと付き合っているらしい |
🟡KP向け:いじめについて
いじめから助けていたのが文子だったのですが、本人は無自覚だったのでよく覚えていません。
1-4. 恵子を追跡
君達が聞き込みを行っていると、噂のそのひと、恵子が幼稚園からでてくる。
彼女はこちらには気づかず、どこかへと向かっている様子だ。
気づかれずに追いかけるにはそれ相応の技能が必要だろう。
判定成功!
彼女は絵馬堂の脇を抜け、楼門の前を通り、宝物殿前を抜け、遊園地前を通り、九州国立博物館の方へと向かっていく。
その間幾度か彼女はキョロキョロと周囲を見渡し、何かを確認していたのが見てわかった。
判定失敗...
🔽追跡に失敗した場合/恵子に直接話を聞く場合

「何か用?文子」
「あたし、見ての通り急いでいるんだけど」

「やぁ恵子偶然だな」
「いや、たまたま見かけたもんでな?何してんのかなと思って」

「別になんでもいいでしょう?」
「仕事よ仕事、たけし君が外でお遊戯中にいなくなっちゃったって担任の先生から相談されて探しに行ってるの」
「まぁ多分いつもの九国のあたりだと思うんだけど…」

「そういうことなら手伝うよ」
「こいつらに九国も案内したいと思ってたところだし、なぁ?」

「別にいいけど…邪魔だけはしないでちょうだいね」
「第一文子、あたしまだあの件、許してないんだからね」
彼女は絵馬堂の脇を抜け、楼門の前を通り、宝物殿前を抜け、遊園地前を通り、九州国立博物館の方へと向かっていく。
その間幾度か彼女はキョロキョロと周囲を見渡し、件のたけし君を探しているようだった。
大エスカレーターに乗り、小高い山を登った先には、きらびやかな現代的な建物が立っていた。
ここは、九州国立博物館。九州唯一の国立博物館であり、天満宮とも提携する観光の名所だ。

「あ、たけし君!」
「まったくもう、こんな所まで来て…」

「あ、恵子~」
「よっ」

「よっじゃないわよ」
「まったく先生たち心配させて…」
「またお牛さん見に来たの?」

「そうそう、12頭目のお牛さん」
「今日も元気そうだった」

「それはなにより」
「満足したなら帰るわよ」
「ほら、帰って一緒にお昼寝しましょう」
その様子はとても微笑ましいもので、不審さなどは感じなかった。
▶文子とのRP例

「ああ、最近園児の間で話題みたいなんだ」
「まずこの天満宮には11体の御神牛がいらっしゃるんだが」
「その全部を触ると幸運が訪れるとか、ドラゴンが現れて願いが叶うとかいう噂があってな」

「そんな中、最近大エジプト展ってのがこの九国で始まったんだが」
「そこにも雄牛像があって、これが12頭目の御神牛ってことで話題になってるんだ」
「牛信仰なんて各所であるものだから勿論偶然なんだが」

「いかにも子供が好きそうな話だろ?」
「隠しキャラ、追加戦士ってのはワクワクするもんな」

「だから言ったろ?」
「しかしこうなると振り出しに戻っちまったな…」
🟡KP向け:恵子の様子について
ここの恵子はまだ時平に乗っ取られておらず、ただの恵子のため有意義な情報を聞き出すことはできません。
たけし君をみつけ、幼稚園に帰って昼寝して以降は、時平に乗っ取られますが、それ以降恵子は幼稚園から出てこないので確認は難しいでしょう。
(時平が乗っ取った場合も、表層記憶は読めているのでパッと話した感じで探索者は違いがわからないでしょう。恋人である文子は何か違和感を感じるかもしれませんが。)
🟡KP向け:九国を見ていきたいという話になった場合
時間が厳しいのに加え、文子の方からなんか関係あるのか?とツッコミを入れて、極力活かせないように誘導してください。
1-5. 呼び出し
君達はまた幼稚園まで戻って話を聞くことができる。
ここではマダムからの情報収集を合計4回行うことができる。
話し込んでいた保護者たちも時間とともにはけ、幼稚園の方からも人の気配が徐々に薄れ、周囲は静まり返ってきた。
時は流れ、影法師はその背を伸ばしていくが、特段変わった様子はなく時間がただ刻々と過ぎていくのみだ。
<LINE着信音>
ふと文子の方から聞き慣れた電子音がする。
文子はまたかと顔をしかめ画面を見やるが、お?と表情を替えて発信主を君たちに伝える。

「恵子からだ」
「なんだろ、でるぞ?」

「もしもし?どうした?」
「これから…?いいけど…ほんとどうした?」
「ま、わかった。本殿な。すぐ行く」

「恵子から呼び出しだ」
「あたしは行ってついでに話聞こうと思うけど二人はどうする?」
これから敵陣に向かうというのに警戒心はまるでなさそうだ。
🔽止める場合

「二人のこと疑うわけじゃないが、心配しすぎだって」
「あたしとあいつの仲だ、大丈夫大丈夫」
「ふたりとも実際にあいつが私になんかする所見たわけじゃないんだろ?」
🟡KP向け:PCの行動ついて
ついていく、隠れて様子を見るなどを想定しています。
ついていかない場合は、情報が取得できずもう一周余分にループする必要が生まれます。
(再度SAN値減少1/1D4で同じ周回)
🟡KP向け:恵子(時平)の通ったルートについて
幼稚園前に探索者達がいるので、裏口からでて本殿へと向かっています。
幼稚園前、本殿前をはる発言があったとしても見つからなかったことにしてください。
1-6. 藤原時平登場
🟡KP向け:恵子の状態について
藤原時平に体を乗っ取られている状態です。
脳まで藤原時平の支配下にあるため、時平は恵子の表層記憶まで読めて、現代知識を得るだけでなく、本人のフリもすることができています。
楼門を抜けてすぐ、本殿の手前に藤原恵子その人はいた。

「よう恵子、どうした?」

「・・・」
恵子は黙って文子の手を取り、文子を抱き寄せると、そのままもう一方の手を背中に回し何かを取り出す。
そして、取り出したものを思い切り彼女の背中に突き立てる。

「・・・っ!」
文子は袴姿で器用に身を翻し、その凶刃から逃れる。
距離をおいた文子は、信じられないと行った様子で恵子を見つめている。
恵子はというと、刃物を片手に、無機質な表情で文子に視線を送っている。
🔽取り押さえよう、止めよう、近づこうとする場合
恵子の双眸が怪しく光り、君たちを捉えたその瞬間、君たちはヘビに睨まれたカエルのように動きを止めてしまう。
強い意志を持ってしても体がピクリとも動かない。

「虫けらが…」
「黙っていれば少しは長生きできたというものを…」
このような危機的状況において奇妙な体験をした君はSANチェック。
SANc:0/1D2

「…てめぇ、誰だ?」
「恵子に何をした?」
口に出した言葉が意外だったのか、恵子は「ほう?」と感心した様子で初めて口を開く。

「ほう、腐っても菅原の血か」
「多少は勘が働くらしい」

「だが拍子抜けだ」
「術に関してはさっぱりらしいな」
文子は身構え、腰を落とし距離を取ろうとする。

「…止まれ」
それとともに文子の足の動きが急に止まる。

「な、足が…」

「かはっ」
そしてその深みが増す毎に、周囲を赤く染めていく。

「冥土への手向けに教えてやろう」

「我が名は藤原時平」
「菅原へ復讐を果たすべく、藤原の血をもって悠久の時を超え甦れり」
判定成功!
彼は菅原道真の祟りにより38歳の若さで病死したとされている。
判定失敗...

「藤原時平だ…?そんなカビの生えた骨董品が一体何の用だってんだ」
「第一逆恨みも甚だしい…」
「御託はいいからさっさと恵子を解放しろ」

「ふん、藤原の血にありながら菅原に迎合する裏切り者か」
「こんな器などどうでもいい、いずれにせよお前たちはまとめてここで果てるのだからな」

「何言って…」
その言葉を遮るように、文子を中心として突如に陣のようなものが浮かび上がる。
血のように赤い光が、そのまま複雑に絡み合い陣のような文様を描くと、その中心から不気味な音が響き渡る。
魔法陣の光は次第に強まり、やがて雷を伴った赤黒い雲が勢いよく立ち上る。
その雲はまるで生き物のようにうねり、天へと向かって急速に広がっていく。
赤黒い稲妻が雲の中で激しく交錯し、その電光が周囲を一瞬にして昼間のように明るく照らし出す。
轟音と共に雷鳴が響き渡り、まるで地と天が共鳴しているかのようだ。
雲は天に昇るだけでなく、周囲に向けて無数の雷を放ち始める。
稲妻は激しく地面を打ち、木々を燃え上がらせ、石を砕く。
大地は震え、雷の轟音が鼓膜をつんざくように響く。
赤黒い雲の中からさらに稲妻が放たれ、その光と音が連続的に繰り返される。
周囲はまるで終末のような光景と化し、雷の一撃一撃が大地に痕跡を残していく。
魔法陣から放たれたこの力の奔流は、自然の摂理を超えた異質な力の顕現そのものであるかのようだった。
君達は目の前の光景に圧倒されながら、ただその凄まじい力の前に立ち尽くすしかない。

「菅原の血によって栄えた街が、菅原の血によって滅びる」
「これほど痛快なことがあろうか」
そして君は目撃する。目撃するはずのない光の筋を。
周囲がコマ送りに見えた。
光がゆっくりゆっくりとこちらに向かってくる。まるでスローモーションのように。
光は分岐を繰り返し、分かれた光の一つがやがて自分たちのもとにたどり着く。
光はそこから天に登り、するとまばゆい光の奔流が君の視界を埋め尽くす。
🟡KP向け:召喚された神について
ここでは時平はわざと魔法陣を間違えて描き、偽の火雷神(ヤマンソ)を招来し、無差別に太宰府の破壊を行っています。