2周目ループ

🟡KP向け:ループ上の注意


・ループのたびにHPとMPは全回復します(SAN値はそのままです)
・ループのたびにSANチェックが発生しますが、これに対し慣れは適用されません
・SAN値上限の更新(不定チェック用)を行うには、ループを一度行う必要があります

2-1. ループ開始


まばゆい閃光の中、何やら音楽が聞こえてくる。
この音楽は聞き覚えがある、天神様ゆかりのあの音楽だ。
音楽が聞こえる、加えて人々の喧騒が聞こえる。
やがて目が慣れ、目を開くと、眼の前には見覚えのある光景が広がっていた。

駅前を行き交う沢山の人々。
見覚えのあるその光景を呆然と眺めていると手の甲に熱い感覚が走る。
見やれば正の字から一画引かれた文字が手の甲に浮かんでおり、そしてその字は眺めているうちにふぅっと消えてしまう。

そうしていると眼の前の女性が懐からスマホを取り出し、画面を確認すると眉をしかめ、再びスマホを懐にしまってしまう。

「すまん、出鼻がくじかれたな」
「早速だがまずは参道を案内しよう」
「この辺は最近は色んな店がでてて面白いぞ?」
「スイーツとかは歴史的には浅いかもだけど気にすんな!」


眼の前に居るのは先程懐を刺され雷にのまれたはずの文子。
再び起こったこの奇々怪々な状況に、君の常識が更に崩れる音がする。

 SANc:1/1D2 


「どうした?ボケーっとして?」
「昨日夜遊びしすぎてお疲れか?」

押し黙る君たちを心配し、文子が声をかけてくる。

🔽ループしてきたことを伝える場合


「ループ…ループか…」
「道真公のお膝元だしそういうこともあるか…?」
「まぁ冗談じゃないってのはわかるよ、だから信じる」

そう言って文子はあっさりと君たちの言う事を信じる。

🔽起きたこと(雷や黒い風)を伝える場合


「雷雲と雷か、まるで伝説に聞く天神様だな」
「しかし何だって京都じゃなくて太宰府にそんなものが?」

これには文子も頭にハテナが浮かぶようでまるで心当たりがなさそうだ。

🔽恵子が乗っ取られ文子を刺したことを伝える場合


「藤原時平?確かにあいつは藤原姓だが…」
「…しかしあいつが私を刺すとするなら、そんくらいぶっ飛んでたほうが逆に信じられるな」

そう文子は独り言ち、腑に落ちた様子で踏むと考え込む。

「状況はわかった」
「しかしこれからどうする?」

文子は君たちの言う事を信じ、君たちの活動をサポートしてくれることだろう。

🟡KP向け:調査指針について


1周目の情報を踏まえ、ここでは大きく2段階の調査方針があると想定しています。
いずれの調査にも文子の協力が必須であり、自発的に調査の手伝いをお願いするよう促してください。

①藤原時平について調査する
②蘇りの方法他について調査する

一定調査を進めると、再び恵子(藤原時平)から呼び出しがあります。


2-2. 基礎調査開始


🟡KP向け:調査と太宰府の隔絶ついて


ループ中の太宰府は太宰府という街だけ隔絶されて存在しています。
そのため、太宰府の外は存在せず、太宰府の外からこれ以上情報を得ることはできません。
これ以上というのがミソで、すでに太宰府にある情報は検索し取得することができます。
例えば、太宰府市民のうち誰かがループ期間中に藤原時平と検索していたらその検索情報はすでに太宰府内にあるのでPC達も閲覧することができます。
この後登場する、藤原時平、着物の着付け方などは誰かしら検索しているはずなので普通に閲覧できてもよいでしょう。

ただし、太宰府にゆかりのないワードなどを改めて調べる場合は、閲覧できるか運になりますので幸運などを振らせてください。
また、SNSでの検索などは、すべて網羅されているかは怪しいため虫食いの状態になりやすいです。(広く拡散されているものほど見える可能性が高い)

◆次の方針についての話し合い


藤原時平について調べたいと自発的に提案させるよう促してください。
どうしても思いつかない場合は文子側から提案させます。

「とりあえず敵を知らなきゃ話にならんか」
「時平について調べてみるのが良いんじゃないか」


🔽インターネットで藤原時平を調べる場合


いくつかの情報を先取りして取得することができます。

🎲判定:コンピューター or 図書館
判定成功!
藤原時平のについてある程度調べることができる。

▶発見:<藤原時平について①> ※後述
▶発見:<藤原時平について②> ※後述
判定失敗...
藤原時平の人物概要について簡単に調べることができる。

▶発見:<藤原時平について①> ※後述

「メジャーな人物だし、まずは図書館でも行ってみるか?」
「うちの図書館そういうのには強かったと思うしさ」

文子は君たちの方針に対し、そのように申し出をする。

太宰府市民図書館は太宰府駅から少し歩いて15分ほどの位置にあった。 歴史を感じさせる、とまでは行かないが古めの建物の一角に設けられた図書館は十分な蔵書量が期待できそうだ。

「ここは図書館以外にも多目的ホールとかもある公民館でな」
「成人式なんかの催しもここでやるんだよ」
「普段はこの通り閑古鳥がないてるが…」

「さて、それじゃ調べますかね」
「図書館で調べ物なんて学生の時以来だなぁ」

軽口をたたきながらも、文子も資料探しを手伝ってくれる。
しかし、あまり手慣れていないのか、手つきはずいぶんとまごまごしい。

🟡KP向け:調査時の文子


文子も調査を手伝ってくれますが、図書館は初期値です。


🎲判定:図書館 or 目星-1(7版のみ)
判定成功!
君たちは数ある文献の中から、藤原時平に関する資料を的確に見つけることができる。

▶発見:<藤原時平について①>
▶発見:<藤原時平について②>
▶発見:<藤原時平について③>
判定失敗...
君たちは数ある文献の中から、どうにかこうにか藤原時平に関する資料を見つけ出すことができる。

▶発見:<藤原時平について①>
▶発見:<藤原時平について③>


<確認:藤原時平について①>


<確認:藤原時平について②>


<確認:藤原時平について③>


「呪術ねぇ…」
「胡散臭いことこの上ないが、お前らの話聞くにまんざら嘘でも無いのかもな」



◆次の方針についての話し合い


夢見の術、呪術について調べたいとPC側から自発的に提案させるよう促してください。
どうしても思いつかない場合は文子側から提案させます。

「時平の術についてもなんか情報はないもんかね」
「夢見がどうこうってあるけど今回の件と関係あんのか?」



2-3. 社務所潜入


「そういやいつだか、宝物殿で平安の呪術の特集やってたっけな…」
「とするとだ…」

文子は独り言ち、ぐるりと君たちに視線を送る。

「お前ら、神職のコスプレに興味あるか?」

と、わけのわからないことを言い出すのだった。

PC どういうこと?など突っ込む場合

「いやな、資料がありそうなのが宝物殿って場所なんだが…」
「見学スペースはともかく、資料とかおいている場所はな、流石にお前らそのまま連れて行くわけにいかなくてな」
「だから着ようぜ、袴」


PC 了承する場合

「お、ノリがいいね」
「そうこなくっちゃ」

「んじゃまず社務所だな」
「極力隠れていくが、誰かにあったら新人って誤魔化してくれ」


そうして図書館から歩くこと20分あまり、本殿から程ない場所に社務所はあった。
日中は人が出払っているのだろうか、中はあまり人の気配がなく、文子に連れられていることもあって君たちは容易に社務所に忍び込むことができた。

「さておまちどう」
「こちらに着替えよろしく」

そう言って文子は君たちに白衣(はくえ)と袴を差し出してくる。

「あたしは表で人を見てるから」
「手ばや目に頼むぜ」

彼女はそう言い残すと君たちを残して部屋から出ていく。


>着替えRP

🟡KP向け:白衣と袴について


着方がちゃんと分かるか、知識やコンピューターで判定するのも良いかもしれません。
文子に着付けを頼むこともできますが、男PCの場合は途中からになります。
うまく来れなかった場合は、後から文子に着付けしてもらってください。

「うんうん、似合ってるじゃないか」

着付けの終えた君たちを前に、文子は満足げにうなづく。

「これなら連れてっても問題ないだろ」
「さて、それじゃ早速宝物殿に潜入と行こうか」

そう言って文子はいたずらげな笑みを浮かべる。


2-4. 宝物殿への侵入


そうして社務所から2分ほどかけて君たちは宝物殿までやってきた。

「ここは地下に研究所と、2階に収蔵庫があるんだ」
「まずは2階のほうを調べてみようか」

「あたしも担当じゃないから、突っ込みがあるかもだけど」
「そん時はフォローよろしく」

「んじゃ行くぞ」

一つ君たちに確認を取り、文子は先人を切って歩を進める。


「どうかしました?」

入口を通り歩を進めた後、受付に座る女性が連れ立って訪れた君たちに不思議そうな顔を向ける?

「いや、ちょっと今調べ物しててさ」
「2階に用があるんだがいいか?」

「はい…?」

要領を得ないふわふわな回答に受付の女性は怪訝な表情を浮かべる。


🎲判定:信用 or 他交渉技能
判定成功!

「なるほど、そういうことでしたら」

受付の女性は納得した様子で君たちを見送ってくれる。
判定失敗...

「どういうことでしょう…?」
「それにそちらの方々見覚えがないのですが…?」

受付の女性は君たちへの疑念を強めたようで、ジトーっとした目で君たちを不審そうに見つめてくる。

「あはは~」
「それじゃ!」

勢いに任せて文子はそう話を切り上げると、君たちを2階へといざなう。


2-5. 宝物殿での調査


重厚な扉を開けると、静寂とともにひんやりとした空気が肌に触れる。
ここは、菅原道真や太宰府に関連する古文書や貴重な物品が厳重に保管された所蔵庫だ。
室内には薄暗い照明が点在し、歴史の重みを感じさせる数々の宝物が整然と並べられている。

壁一面に設えられた棚には、時代を超えて伝わる古文書や資料が並んでいる。
足元には厚手のカーペットが敷かれ、歩くたびに微かな音が響く。
静まり返った所蔵庫全体は、まるで時の流れが止まったかのような静謐さに満ちている。

「さて、どっから手を付けたものか…」



🟡KP向け:キーワード指定


夢見の術、蘇りの術について調べるという指定があった場合、成功率+20%
🎲判定:図書館 or 目星-1(7版のみ)
判定成功!
君たちは数ある文献の中から、術に関する資料を的確に見つけることができる。

▶発見:<夢侵入術概要>
▶発見:<蘇りの夢見術概要>
判定失敗...
君たちは数ある文献の中から、どうにかこうにか夢見の術に関する資料を見つけ出すことができる。

▶発見:<夢侵入術概要>

<確認:夢侵入術概要>


<確認:蘇りの夢見術概要>


「いよいよきな臭くなってきたねぇ」
「しかし話には符合するか…」

などと話していると、文子がふとスマホを取り出し言う。

「おっと、ぼちぼち完全閉館だ」
「職員でもでなきゃならねぇ」



2-6. 呼び出し


<LINE着信音>

君たちは極力目立たぬように宝物殿を後にする。
ちょうどそれと同時に文子の方から聞き慣れた電子音がする。
文子は慎重にスマホを取り出し画面を確認すると、発信主を君たちに伝える。

「…恵子からだ」
「…でるぞ?」

君たちに一応のことわりを入れて彼女は着信を受け取る。

「…もしもし?どうした?」
「これから…?ああ、うん」
「…わかった。本殿な」

足早に会話を終え、彼女は君たちに向き直る。

「聞いてた通り呼び出しだ」

「…どうする?」
「刺されるとわかってて行くのも馬鹿らしいか…?」

そう言って君たちに意見を求めてくる。

🟡KP向け:現状取れる手段について


まだ情報が足りず、この段階で根本的な状況打開は不可能です。
この状態でどのような対応を試みるかはPCに委ねますが、いずれも失敗に終わることでしょう。
以下にいくつかパターンを用意しましたが、それ以外のことを行う場合はKP側で描写を行うようお願いします。

→太宰府から脱出しようとする場合   :太宰府からの脱出
→呼び出しを無視しようとする場合   :呼び出し無視
→不意打ち等で取り押さえようとする場合:不意打ち



2-7A. 太宰府からの脱出


「そうだな、確かに災害の中心地がここってわかってて残るのも馬鹿らしいか…」
「…しゃーないよな」

いつもの彼女とはうって変わり、その表情はどこか後ろめたく、儚げに見えた。

君達は交通機関を使用し、太宰府市外に出ようと試みる。
橙色の光が街を優しく包み、日が沈む前の静けさが広がっている。
窓の外には見慣れた景色が流れていき、乗り物は確かに街を抜け出そうとしていた。
15分と立たないうちに市街を抜ける看板が目についた。
しかし次の瞬間、何かがおかしいことに気がつく。
窓の外を見やると、そこには出発地点と同じ風景が広がっていた。
駅前の広場、特徴的な建物、見覚えのある街並み。

胸の鼓動が速まり、冷や汗が額を伝う。
周囲を見やると先程までと客層が違う、まるで居眠りでもしてしまったかのごとく君は元の場所にとんぼ返りしてしまったらしい。

夕方の赤く燃える光が街を照らし続ける、君達は乗り物の中で静かに佇んでいる。
外の風景は一見平穏だが、自分の中には深い恐怖と混乱が渦巻いている。
この街はまるで生き物のように、自分を閉じ込め、どこにも行けないようにしている。
世界がこの街で閉じていることを自覚し、絶望感が胸に広がる。

 SANc:0/1D3 

呼び出し無視


2-7B. 呼び出し無視


夕暮れの太宰府は、静けさと美しさに包まれていた。
しかし、その静寂を破るかのように、突如として空に赤黒い雷雲が現れる。
雷雲は怒りに満ちたようにうごめき、空全体を覆い尽くす勢いで広がっていく。
その中から閃光が走り、激しい雷鳴が響き渡る。
まるで天が裂けるかのように、赤黒い稲妻が街に降り注ぎ、建物や木々を焼き尽くしていく。
雷雲はまるで意志を持つかのように、太宰府の古い街並みを次々と破壊していく。
歴史的な建物が次々と炎に包まれ、石畳の道が割れ、街は混乱と破壊の渦中に投げ込まれていく。

さらに、吹きすさぶ風は黒く冷たく、触れるもの全てに疫病を撒き散らすかのようだった。
風が吹くたびに、人々は苦しみ、倒れていく。
黒い風はまるで生き物のように街中を徘徊し、瞬く間に太宰府中に広がっていった。

遠巻きに見守るしかない君達の目には、街がめちゃくちゃにされていく光景が焼き付いている。
かつての栄華を誇った太宰府は、今や破壊と混乱の舞台となり、助けを求める人々の声が虚しく響く。
希望はもはやなく、ただ無力感だけが心を支配する。

雷鳴と黒い風の音が混じり合い、絶望の中で自分自身の心音だけが響く。
立ち尽くしていると、赤黒い雷雲が次第にこちらへと向かってくるのが見えた。
逃げることもできず、ただその雷風に飲み込まれるのを待つしかない。

次第に意識が遠のき、最後に見たのは、古都の美しさが完全に失われた光景だった。
太宰府と共に、君自身もまた歴史の闇に消え去っていくのだった。

3.対峙


2-7C. 不意打ち


「藤原時平だなんだいっても、体は恵子だ」
「ひっ捕まえて簀巻きにしちまえばなんとかなるだろ!」

そう言って君達の計画に文子も賛同し力を貸してくれる。
君達は恵子の元へ忍び寄ろうと画策するも、楼門をくぐった先、本殿の前は開けて視界が良く、背後を取ろうにも後ろは本殿で通れそうにない。
これでは不意打ちをするのは難しいだろう。

「ネズミが…」
「黙っておらずでてこい…」

君達がコソコソとしていると、まるですべてを見通したかのように恵子が口を開きその目が怪しく光る。
すると、君達の足はひとりでに歩き出し、恵子の前へと躍り出てしまうのだった。
このような危機的状況において奇妙な体験をした君はSANチェック。

 SANc:0/1D2 

「…てめぇ、恵子に何をしやがった」

重苦しい雰囲気の中、意を決した様子で文子が口を開く。
口に出した言葉が意外だったのか、恵子は「ほう?」と感心した様子で初めて口を開く。

「ほう、腐っても菅原の血か」
「多少は勘が働くらしい」

「だが拍子抜けだ」
「術に関してはさっぱりらしいな」

そう言って恵子は隠し持っていた刃物を取り出し、悠然と歩をすすめる。
文子は身構え、腰を落とし距離を取ろうとする。

「…止まれ」

そう言って、恵子の双眸が怪しく光る。
それとともに文子の足の動きが急に止まる。

「な、足が…」

足の止まった文子に恵子は1歩2歩と距離を詰め…

「かはっ」

刃物が文子の懐に吸い込れるように消えていく。
そしてその深みが増す毎に、周囲を赤く染めていく。

「冥土への手向けに教えてやろう」

「我が名は藤原時平」
「菅原へ復讐を果たすべく、藤原の血をもって悠久の時を超え甦れり」


「被害妄想ジジイが女子の体乗っ取って蘇ろうだなんてキモいんだよ」
「さっさと恵子を解放しろ」

膝をつき、息も絶え絶えになりながら、毅然とした様子で文子は恵子を睨みつけながら言う。

「ふん、藤原の血にありながら菅原に迎合する裏切り者か」
「こんな器などどうでもいい、いずれにせよお前たちはまとめてここで果てるのだからな」

「何言って…」


その言葉を遮るように、文子を中心として突如に陣のようなものが浮かび上がる。
血のように赤い光が、そのまま複雑に絡み合い陣のような文様を描くと、その中心から不気味な音が響き渡る。
魔法陣の光は次第に強まり、やがて雷を伴った赤黒い雲が勢いよく立ち上る。

その雲はまるで生き物のようにうねり、天へと向かって急速に広がっていく。
赤黒い稲妻が雲の中で激しく交錯し、その電光が周囲を一瞬にして昼間のように明るく照らし出す。
轟音と共に雷鳴が響き渡り、まるで地と天が共鳴しているかのようだ。

雲は天に昇るだけでなく、周囲に向けて無数の雷を放ち始める。
稲妻は激しく地面を打ち、木々を燃え上がらせ、石を砕く。
大地は震え、雷の轟音が鼓膜をつんざくように響く。

赤黒い雲の中からさらに稲妻が放たれ、その光と音が連続的に繰り返される。
周囲はまるで終末のような光景と化し、雷の一撃一撃が大地に痕跡を残していく。
魔法陣から放たれたこの力の奔流は、自然の摂理を超えた異質な力の顕現そのものであるかのようだった。

君達は目の前の光景に圧倒されながら、ただその凄まじい力の前に立ち尽くすしかない。

「菅原の血によって栄えた街が、菅原の血によって滅びる」
「これほど痛快なことがあろうか」

そう言って嗤う恵子、もとい時平の姿はもはや光りに包まれ見えない。

そして君は目撃する。目撃するはずのない光の筋を。
周囲がコマ送りに見えた。
光がゆっくりゆっくりとこちらに向かってくる。まるでスローモーションのように。
光は分岐を繰り返し、分かれた光の一つがやがて自分たちのもとにたどり着く。
光はそこから天に登り、するとまばゆい光の奔流が君の視界を埋め尽くす。