3周目ループ

🟡KP向け:ループ上の注意


・ループのたびにHPとMPは全回復します(SAN値はそのままです)
・ループのたびにSANチェックが発生しますが、これに対し慣れは適用されません
・SAN値上限の更新(不定チェック用)を行うには、ループを一度行う必要があります

3-1. ループ開始


まばゆい閃光の中、何やら音楽が聞こえてくる。
この音楽は聞き覚えがある、天神様ゆかりのあの音楽だ。
音楽に加えて人々の喧騒が聞こえてくる。
やがて目が慣れ、目を開くと、予想通りの光景が広がっていた。

眼の前に広がるのは昼時の太宰府駅の光景。
そして、三度手の甲が熱くなりそこを眺めれば、正の字から二画引いた文字が浮かび上がっていた。
その文字が消えるのを見届け、前を見やれば、一人の女性がちょうど懐からスマホを取り出した場面だった。
彼女はスマホを取り画面を確認すると、眉をしかめ再びスマホを懐にしまう。

「すまん、出鼻がくじかれたな」
「早速だがまずは参道を案内しよう」
「この辺は最近は色んな店がでてて面白いぞ?」
「スイーツとかは歴史的には浅いかもだけど気にすんな!」


眼の前に居るのは先ほども君たちと行動をともにしていた文子。
そして周囲に広がるのは太宰府の駅前の景色。
再び起こったこの奇々怪々な現象に、君の常識が更に崩れる音がする。

 SANc:1/1D3 


「どうした?ボケーっとして?」
「昨日夜遊びしすぎてお疲れか?」

押し黙る君たちを心配し、文子が声をかけてくる。

🔽ループしてきたことを伝える場合


「ループ…ループか…」
「道真公のお膝元だしそういうこともあるか…?」
「まぁ冗談じゃないってのはわかるよ、だから信じる」

そう言って文子はあっさりと君たちの言う事を信じる。

🔽起きたこと(雷や黒い風)を伝える場合


「雷雲と雷か、まるで伝説に聞く天神様だな」
「しかし何だって京都じゃなくて太宰府にそんなものが?」

これには文子も頭にハテナが浮かぶようでまるで心当たりがなさそうだ。

🔽恵子が乗っ取られ文子を刺したことを伝える場合


「藤原時平?確かにあいつは藤原姓だが…」
「…しかしあいつが私を刺すとするなら、そんくらいぶっ飛んでたほうが逆に信じられるな」

そう文子は独り言ち、腑に落ちた様子で踏むと考え込む。

「状況はわかった」
「しかしこれからどうする?」

文子は君たちの言う事を信じ、君たちの活動をサポートしてくれることだろう。

🟡KP向け:調査指針について


ここでは前周に概要を掴んだ夢見術の詳細を調べることを想定しています。

調査の方には文子の協力が必須であり、自発的に調査の手伝いをお願いするよう促してください。
そして一行動後(~15時ごろ)、恵子の夢に侵入することを想定しています。
何もせず18時頃になると、再び恵子の呼び出しを受けてしまいます。(実質詰みで再ループへ)


3-2. 二度目の潜入


◆次の方針についての話し合い


時平の使っていた術(夢見の術)について調べたいと自発的に提案させるよう促してください。
どうしても思いつかない場合は文子側から提案させます。

「要研究…ってことは研究エリアになにかあるかもな」
「職場見学ってことで行ってみっか?」


君たちは30分ほどかけて前回同様移動と潜入の準備を済ませる。
そうして宝物殿の手前まで来たところで、また文子が告げる。

「ここは地下に研究所と、2階に収蔵庫があるんだ」
「だからなんとか地下の方に通してくれるように頼んでみよう」

「あたしも担当じゃないから、突っ込みがあるかもだけど」
「そん時はフォローよろしく」

「んじゃ行くぞ」

一つ君たちに確認を取り、文子は先陣を切って歩を進める。


「どうかしました?」

入口を通り歩を進めた後、受付に座る女性が連れ立って訪れた君たちに不思議そうな顔を向ける?

「いや、ちょっと今新人案内中なんだけどさ」
「こいつらここの配属希望らしくて地下も見てみたいらしいんだ」
「ノーアポで悪いんだけど通してくんない?な?」

「新人さん…そんな話は聞いてないですけど…」
「ん~…」


🎲判定:信用 or 他交渉技能
判定成功!

「まぁ良いでしょう」
「ただし他の方の邪魔にならないようお願いしますよ?」

受付の女性は納得した様子で、見学が来ると内線を一本入れ、自ら君たちを地下へといざなってくれる。
判定失敗...

「ちょっと確認を取ってもよいですか?」
「私の一存ではなんとも…」

難しい顔で女性はそう答える。
どうもガードが硬いようだ。

もう一度交渉技能を振り、失敗した場合は入るのを断られます。(成功時はそのまま入れます)
失敗した場合は、その他どうにか潜入するようにしてください。(ループするので力づくという手もあります)
どうしても思いつかない場合は、文子を囮として残して忍び込むとうしてください。

「ありがとさん」
「今度奢るよ」

そういって君たちは巫女に連れられ、大手を振って地下へとおりていく。


3-3. 宝物殿での調査②


君たちは地下を降りて研究エリアへとやってくる。

研究エリアの重厚な扉を開けると、そこには静寂と厳粛さが漂う空気が広がっていた。
眼前には、幾人かの研究員とともに、古文書や貴重そうな物品が大切に安置された空間が広がる。
研究員たちは君たちを一瞥するとまた静かに資料に向かい合い、古文書の内容を慎重に読み解いている。
静かな空間に響くのは、紙をめくる音やペンの走る音だけだ。

君たちが出入り口でそんな様子を眺めていると、連れ立ってきてくれた受付が改めてこちらに向き直り口を開く。

「ここが研究フロアです」
「悪いですが、今みんな手が詰まってまして」
「適当に見て回ってもらえます?ああ、論文ならそこにまとまってますので」
「言うまでもないですが、邪魔したり汚したりしてはだめですよ?」

そう言って一つの棚を指差すと受付の女性はその場を去っていく。
果たして目当てのものを探し出すことができるだろうか。

🟡KP向け:交渉による手助け


周囲の人間に交渉術で助けを求めたりする場合、成功率を+20%して良いです
🎲判定:図書館 or 目星-1(7版のみ)
判定成功!
君たちは数ある文献の中から、術に関する資料を的確に見つけることができる。

▶習得:<夢侵入術>
▶習得:<蘇りの夢見術>
▶習得:<夢武装術①>
▶習得:<夢武装術②>
▶習得:<夢防護術>
判定失敗...
君たちは数ある文献の中から、どうにかこうにか夢見の術に関する資料を見つけ出すことができる。

▶習得:<夢侵入術>
▶習得:<夢武装術①>
▶習得:<夢防護術>


<確認:夢侵入術>


<確認:蘇りの夢見術>


<確認:夢武装術①>


<確認:夢武装術②>


<確認:夢防護術>


普段なら笑い飛ばしてしまうような絵空事。
しかし、君たちはある種の実感を持って、この術が本物であるとわかる、いやわかってしまう。

<各種SAN値処理>

「この蘇りの夢見術ってやつの対象に選ばれたのが恵子、ってわけか…」
「ちくしょう、ふざけやがって…」
「恵子は無事なんだろうな…」


◆次の方針についての話し合い


夢見の術によって恵子の夢に侵入するのが次の正順手になります。
恵子がお昼寝しましょうと言っていたことを思い出し、PC側から自発的に提案させるよう促してください。
どうしても思いつかない場合は文子側から提案させます。

「夢…」
「そういやあいつこの時間はいつも園児たちと昼寝してるな…」



3-4. 夢への侵入


🟡KP向け:夢侵入のタイミングについて


夢に侵入できるのは15~16時頃、ちょうど一回目の探索が終わった直後となっています。
そうして君たちは太宰府天満宮幼稚園の前までやってくる。
園は静かな様子で静まり返っている。
園の向かいには腰ほどの高さの石垣があり、腰を掛けるのにちょうど良さそうだ。

🔽夢侵入術を行使する


あなたは目を閉じ、深く呼吸を整えながら、意識を一点に集中させる。
そして恐る恐る覚えたての術を口にすると、次第に意識はまどろみ、夢と現実の境界を曖昧にしていく。

意識の中で浮かび上がるのは、対象者の顔、そして見知らぬ光景。
あなたは自然と手をかざし、指先で空中に見えない門を描く。
すると、その門がゆっくりと開き、光のトンネルが現れる。その向こうには、対象者の夢の世界が広がっている。

あなたはそのトンネルに向かって一歩足を踏み出す。
するとふと体が軽くなる、後ろを見れば虚ろな目をさせたあなたの体が手を伸ばして固まっている。
更に足を踏み出すと、光が次第に強まり目の前の景色が見知らぬものへと変わっていく。


3-5. 恵子の夢の世界


気がつくとあなた方は見知らぬ場所にいた。
ここは夢の中なのだろうか?しかし手足の感覚、体に感じる重力など、夢の中にいるようなフワついた感覚はまるでない。
周りを見渡してみると、そこは神社と私室、公園、学校など様々な建物の入り混じった不思議な空間だった。
これが人の深層心理というものなのだろうか?
無限に入り組んだその光景は、まるで君達の行く手を阻む迷宮のように思えた。

「ひゃーゴチャついてんなぁ」
「色々考え込むあいつらしいっちゃらしいけど…」

キョロキョロと物珍し下に当たりを見渡す文子、緊張感はなくどちらかと言うと好奇心が勝っているようだ。
さて、夢の世界ですが、山あり谷あり奇々怪々な不思議空間となっています。
道中様々あるのですが、ここでは簡略化してすごろくを行ってもらい、ゴールすれば夢の最奥にたどり着けたことにします。

◆夢すごろくのルール


・一人ずつ交代で1d3を振ります
・出た目の数だけ前にすすみ、止まったマスのイベントに従います

「ふぅ…やっとぬけたか…」

「ん…ありゃ…?」



3-6. VS藤原時平


君たちがたどり着いた先、そこには意識がない様子の恵子と、百人一首などで見た束帯(そくたい)に身を包んだ男性の姿があった。

「何奴…?」
「これを藤原時平の夢と知っての狼藉か!」


🟡KP向け:文子のRPについて


勿論ブチギレですが、あまり前に出るとPCたちの出る幕がないので、控えめにしてください。

▶藤原時平とのRP例


PC 恵子に何をしたなどの質問

「ふん、この肉体を明け渡すよう説得し、納得してもらったところよ」
「当人同士の問題だ、邪魔立てするでない」


PC お前の夢じゃないだろと言ったツッコミ

「これよりこの肉体は時平のものとなるのだ」
「何も間違っていなかろう…」

「しかしまさかこの私が女の肉体を得ようとは…」
「まぁ若いだけまだ良しとしよう、いずれにせよ大願叶えば不要な体だ」


PC 何が目的だなどの質問

「ふん、しれたこと…」

「我が大願、それは道真とそれに連なるものへの復讐」
「これをおいてあるまい」


PC 逆恨みだなどのツッコミ

「知ったふうなことを…」

「彼奴さえいなければ我が計画は完遂したものを…」
「それを彼奴は死んでまで阻止してきおった」
「ともあれば、私も死してなおその恨み、はらさせてもらう」

「その後はまた適当な体を見繕って権力を手中に収めてみせよう」


PC そうはさせないなど息巻く

「ほう?私を大呪術師、藤原時平と知っての物言いか?」
「ならばかかってくるが良い、貴様らの肉体も傀儡としてやろう」



🔽夢防護の術をかけていない場合


戦闘の火蓋が切って落とされると同時に時平の目が怪しく輝く。
それと同時に君たちは蛇に睨まれた蛙のように怯えすくみ、その場に固まってしまう。

「ふん、意気込むのでどれほどのものかと思えば…」
「もう良い、興が削げた。去ね」

時平はそう言うと、笏を大きく振りかざす。
すると大きな魔力が無数の刃を形作り、それらは一斉に君たちを襲い来る。

敗北の後

🟡KP向け:夢防護の術について


かけ忘れている場合(後のループ数が足りず)強制バッドエンドになってしまうため、戦闘前にアイデアをふらせるなどして、チャンスを与えるようにしてください。

戦闘の火蓋が切って落とされると同時に時平の目が怪しく輝く。
それと同時に君たちは一瞬蛇に睨まれた蛙のように竦んでしまうが、自らを奮い立たせその拘束を振り払う。

「ほう?少しは心得があるらしい」
「よかろう、であれば直々に相手してやろう」

時平はニヤリと笑うと笏を構える。

🟡KP向け:戦闘について


ここは夢の世界ですが、HPをそのままHPとして扱います。(意識体の体力と思ってください)
ただ、通常の戦闘と異なり、HPが0になるまで気絶はしません。0は自動気絶(仮死)となります。

また、文子も戦闘に参加しますが、活躍しすぎないように注意してください。
(指示がなければ恵子に呼びかけるなどでターンを潰してもよいです)

あくまで中ボスなので、PTが貧弱で負けそうな際は時平のHPを調整するなどしていただいて構いません。

🟡KP向け:文子のパラメーターについて


HP:13/MP:15/DB1D4
回避:65/近接格闘(刀剣):70/応急手当:52

▶藤原時平との戦闘


時平のパラメーターはHP:8/MP32となっています。
(MPが上限突破しているのは恵子のMPを吸収しているためです)

※更に時平は[PC人数×10点]の魔術装甲を持っています
※時平は回避行動や魔術による迎撃を行いません
※時平は文子を狙いませんが、これは菅原の血である文子の体を狙ってのことで、意図的に最後に残しています

[時平の行動パターン(ランダム)]
①文子を除くランダムな対象(単体)に夢武装術で攻撃[3D3]ダメージ(※MP3消費)
②文子以外で一番HPの低い対象(単体)に夢武装術で攻撃[2D3]ダメージ(※MP2消費)
③PC全員に夢武装術で攻撃[1D3]ダメージ(※MP PC人数分消費)


→戦闘に敗北した場合:敗北の後 へ ※PC全員のHPが0になった時点で敗北
→戦闘に勝利した場合:勝利の後


3-7. 敗北の後


時平の鋭い術が満身創痍のあなたを襲う。
その瞬間、頭の中に鋭い痛みが走り、次第に意識が薄れていく感覚が広がる。

視界がぼやけ、周囲の景色が揺らめき始める。耳鳴りが激しくなり、周りの音が遠のいていく。
自分の体が重くなり、まるで水の中に沈んでいくかのような感覚に包まれる。
手足の感覚が次第に失われ、自分の存在が薄れていくのを感じる。

「これは現実なのか、夢なのか...」その思考さえも次第に薄れていく。
意識の中で、自分自身が溶けていくような感覚が広がり、全てが白い霧に包まれる。
視界も、音も、感覚も次第に消え失せていき、意識の端で何かが崩れ落ちていくのを感じる。

最後に残るのは、自分が自分でなくなっていく恐怖と、全てが消え去る無力感。
術師の力に抗う術もなく、自分の存在が完全に消え去ろうとしている。
その瞬間、全てが真っ暗になり、完全な無の中に落ちていく。

意識が消失する直前の一瞬、自分の名前さえも思い出せなくなり、全てが無に帰す。
最後の感覚として、時平のの冷たい笑みが頭の中に焼き付けられ、完全な闇が訪れる。
それは、自分という存在が完全に消え去る瞬間だった。

ED4:廃都太宰府


3-8. 勝利の後


「ぐっ…」
「まさか、この時平が…かような下賤の者たちに…」


>勝利後のRP

「ふん、勝ち誇れるのも今のうちよ…」
「私が直接手をくださずともこの街は我が神、黒い風に…」
「ふは、ふはははははは…」

最期にそう言い残し、時平はサラサラと砂のようになって消えてゆく。
そして時平の姿は完全に消え、後にはぐったりと動かない恵子だけが残された。

「最期までいけ好かない奴め…」
「って、そんな場合じゃない!」


🔽HP0のPCがいる場合


「{PC名前}、しっかりしろ!」

ハッとした様子で文子はあなたに駆け寄ると優しく抱え起こす。
するとどうだろうか、文子の体が淡く光り、その光があなたを優しく包み込む。

HPを1に回復。(MPが0の場合もMPを1に回復)

「恵子!」

ハッとした様子で文子は恵子に駆け寄ると恵子を抱え起こす。
するとどうだろうか、文子の体が淡く光り、その光が恵子を優しく包み込む。

「ん…あれ?私…」
「文子…?どうしてここに…?」

光りに包まれて生気を取り戻した恵子が意識を取り戻す。

「良かった!恵子!」
「よかった…!」

そう言って文子は恵子を激しく抱きしめる。

「え?なに?ちょっ…!」
「文子やめ!私どうなって…」

混乱する様子の恵子、そんな光景を見つめていると視界が薄れていく。
君たちは直感的に覚醒が近いのだと感じることだろう

その後も文子たちは何かを話していたようだが、君たちにはもうその光景は見えず、聞き取ることもできなかった。
君たちの意識は静かにホワイトアウトしていくが不快な感覚ではなかった。
どれくらいの時が経っただろうか。君たちはハッとして目を覚ます。ここは術を使ったあの場所だ。
それなりに時間が経ったようで、時刻はもう夕暮れ時だ。地面を見れば長い影が君たちを見つめ返してくる。

そして眼の前には少しおくれて目覚めまだ寝ぼけ眼を擦る文子の姿がある。

「ふぁあ、おはよ…」
「なんか実感ないけど、やったんだよな?」

「{PC達名前}のお陰で恵子が助かった」
「ほんとにありがとう」

彼女はそう言って君たちの手を取りブンブンと振り回す。

等と話していると一人の人物が君たちに歩み寄ってくる。
それは夢で眼前にいた恵子だった。
彼女はおずおずと言った様子で君たちに近寄ってくると、えーっとと話す言葉を選んでいるようだ。

「えーっと、なんか勘違いじゃなければあんた達が助けてくれた…のかしら?」
「いや、急にごめんなさい」
「さっき夢で気持ち悪い親父に絡まれてたんだけど、あんた達が助けてくれた気がして…」

「身に覚えがなかったら聞き流してほしいんだけど…」
「ありがとう…たすかったわ」


>恵子を含めたRP
※次の振りのため、一旦一件落着と言った雰囲気を出せるとよいです

そのように君たちが談笑していたときのことだった。


🟡KP向け:文子達が行っていたこと


包容とキスです。

🟡KP向け:文子が行ったHP/MPの譲渡について


HP/MPが0の恵子やPCに文子がHP/MPを1ずつ譲渡したため、意識を失った人間は目覚めることができました。 これは恋人の危機に菅原の血が微覚醒してできた芸当です。
PCたちは行うこともできず、文子も今後意図的に行うことはできません。


3-9. 黒い風の招来


ふと一陣の風が吹き抜ける。
冷たく黒い風だった。
最初は微かに感じるだけの風だったが、風は次第に強さを増していく。
その風は黒く冷たいだけでなく、どこか不健康な病の匂いを帯びているように感じた。

黒い風が巻き上がる度に、周囲の草木がざわめき、葉が不自然に黒ずんでいく。
風は冷たさと共に、不吉な予感を運びながら地面を這うように進んでいく。
その風に触れると、急に身体が重く感じ、肌に寒気が走る。

一瞬の不注意で、その冷たい黒い風を吸い込んでしまう。
冷気が喉を通り抜けると同時に、胸に鋭い痛みが走る。
息をする度に、体の内側から冷たさが広がり、全身に悪寒が走る。
頭がくらくらと回り始め、視界がぼやけていく。

呼吸が浅くなり、全身の力が急速に抜けていくのを感じる。
心臓が激しく鼓動し、手足が痺れて動かなくなる。
まるで体内に病魔が広がっていくかのように、急激に体調が悪化していく。
顔色は青白くなり、汗が冷たく流れ落ちる。

>風に対するRP等

周囲の風はさらに勢いを増し、狂乱しながら命を奪い去るように吹き荒れる。
冷たい黒い風が吹き続ける限り、その中に生命は存在し得ない。
風に触れ、風を吸い込んだ者は、即座に体調を崩し、病魔に侵されていく。
黒い風の中で、全ての命は次第に力を失い、無力に倒れていく

それは周囲の観光客は勿論、眼の前の文子と恵子、そして君たちも例外ではない。
一人、また一人と喉をおさえ苦悶の表情で地面に倒れ伏していく。
次第に意識が薄れ、冷たい風以外に何も感じられなくなる。
やがてはそれすら感じられなくなり、君の意識は冷たい風に吹かれどこか遠くへ遠くへと流されていく。