character





精神寄生体


本作の核となる神話生物。
すべての人類の脳にとりつき、MPを吸収して生きる寄生生物。
寄生生物と言っても実態がなく、その退治は困難を極め、作中では生死に関わるレベルの電撃を浴びるか、女王体(後述)の命令によって自壊させるかの2つしか討伐方法がない。
精神寄生体は無意識下で人間の行動を制御することができるが、あくまで人類を繁栄させ安定的にMPを吸うことが目的なのであまり積極的に干渉は行わない。
干渉を行うのは、自らの存在を暴こうとする・退治しようとする行為、またはソレにつながる行為を行おうとするとき、あるいは女王体の命令があったときのみ。
作中で読めない文字などがあったのは、精神寄生体が宿主にその存在を認知させないための妨害である。

また、精神寄生体は人間のとある器官を使って、思念波による個体間のコミュニケーションを行っている。
この器官は人間にも使うことが可能だが、生まれつきの才能に依存する部分が大きく、そのような人間はエスパー(悟り/悟られ)と呼ばれることも。
また、そういった特殊な人間を除く場合、思念波の送受信は精神寄生体が行っているため、精神寄生体を失った人間は思念波の受信自体も不可能になる。
こういった人間には寄生体を通した命令も効果をなさないため、タワーで百暗哀と対峙した際、その命令がPCやモモカには効果をなさなかった。

人間の中には稀にこの器官が発達して生まれる個体があり、このような個体は女王個体と呼ばれ、精神寄生体の中でも指揮官となる女王体が寄生することとなる。
この個体は生まれながらに女王体を通じて感情の察知、伝搬が出来てしまい、このような個体もエスパーと呼ばれることもある。
作中、八起恵美はこの女王個体にあたり、女王体を通して悟りに相当する能力だけ持っていたが、モモカの呪文により女王体は退治されたため、シナリオ後はこの能力を失っている。


内久保 和真うちくぼ かずま


PC1の妹の入院する病院の医院長。本作の中ボス的立ち位置。
過去に探索者として、ウボ=サスラを信仰するミ=ゴが脳缶を集めるため暗躍する事件を解決したことがある。
その時の戦利品として、ミ=ゴの脳移植技術とウボ=サスラの雛による人間のクローニングの技術を得ている。
そして、その探索のさなか、ミ=ゴの電撃銃を受けてしまったのが彼の受難の始まりだった。

彼はミ=ゴの電撃銃を受けたことで、精神寄生体の支配から逃れた数少ない人間である。(本シナリオのオリジナル要素で、精神寄生体は人間の生死に関わるほどの強い電撃を浴びることで死滅する)
彼は医学的な知見により、自力で精神寄生体の存在に気づき、自分以外のほぼすべての人間がそれに無意識下で操られてしまっていると気づいてしまった不幸な人間だ。
彼はそのことに絶望し、人類の自由意志奪取のため、精神寄生体の殲滅を目指して動き出すこととなる。
尤も精神寄生体が人類の意志に介入するのは、精神寄生体の種の存亡に関わる有事の時くらいで、人間への影響はほぼないに等しいのだが、気づいてしまった以上は教習車で隣に座る教官のごとく、いつブレーキを踏むかわからないうっとおしい存在なのは変わりない。
彼が存在に気づいてしまったことで周囲の精神寄生体の動きが活発化し、余計に彼を囃し立てた、という一面もある。

彼は医者という立場を活かし地道な調査を進めるも、自分以外の人間がほぼ精神寄生体に寄生されているという事実の裏付けが強まるばかりで、調査しようにも存在を観測・干渉すると宿主に被害が出る状態に悪戦苦闘していた。
そんな折に彼はPC1の妹「はじめ」と出会う。
彼女は生まれつき精神寄生体を宿さない特異な人間であった。
彼はそんな彼女を研究することで、精神寄生体の対抗策を得たかったが、彼女は先天的に臓器に疾患があり、移植を急がねば命自体が危ぶまれる状態だった。
そこで彼はかつて得たウボ=サスラの雛による人間のクローン技術を流用することで、臓器移植により彼女の治療を行うとともに、精神寄生体に関する実験もクローン個体で行おうと考えた。

結果、彼女の治療と研究を行うために101ものクローンが産み落とされた。
といっても人間の形を保っていたのはモモカを含め数体でしかなく、そのような過程を見ているがゆえに彼はモモカを人間扱いしていない。(命自体への経緯はあるが感情としては実験動物に対するそれに近い)
本作はその最後のクローン個体No.101(モモカ)が、研究所を脱走しPC達に出会うところから始まる。


百暗 哀もくら あい/シロ(No.099)


内久保和真によって作られた、”はじめ”の99番目のクローン個体。本作のラスボス的立ち位置。
精神寄生体の研究のために産み落とされ、No.101(モモカ)らと共に研究漬けの毎日を送っていた。
クローンの中でも生まれつき精神寄生体の感覚器官を利用できる才能を持った希少個体、言い換えるならエスパーである。
エスパーと言ってもクローン元の”はじめ”が女王個体ではないため、自分の気持ちを相手に伝えたり、相手の気持を汲み取る程度の軽い能力しか持たなかった。(悟り、悟られ)
研究所の世界しか知らなかったため、さしたる不満を持たずに過ごしてきたが、仲間であるNo.100、No.001が続けざまに内久保の手にかかったことに危機感を覚え脱走を企てるようになる。
No.001(ハジメ)に懐いており、そのハジメからもらったシロという名前を大事にしている。
No.101(モモカ)のことは表には出さないものの大切な妹と思っていたが、脱走の打診をした際に非協力的であったためそのときから反目するようになる。(心うちでは今も大事だがお年頃ゆえの反目)
ちょうどいいタイミングで女王個体(八起恵美)が研究所に保護されたため、その体を奪い女王個体の能力を使って脱走することを思いつき、それを実行。
研究所の外でトラックを運転していた運転手を女王個体の能力で操り、研究所に衝突させ、そこから脱出を果たす。その際にエイボンの書と八起恵美の脳も持ち去る。
(もともと精神寄生体の感覚器官を利用できる脳+女王個体の強い感覚器官=女王体の能力を自在に操れる力)

外の世界に出てからは、エンタメのあふれる世の中を見て、自身やハジメ達の育ってきた境遇との差に絶望。そこからエンタメやそれを享受する人間そのものに対して怒りを燃やすようになる。
女王個体の能力で、もともと清い雨のように穏やかに生きることを目的としていただけの団体”清雨会”を乗っ取り、根城にする。
その後はテレビで世間のことを学ぶとともに、そのテレビを通して命令を発することでエンタメを一掃することを思いつき、メディアへの露出を強めていく。
しかし、エンタメを潰そうとするほど、エンタメのコントロールが思い通りにいかない怒りをつのらせ、ついには自分の身と引き換えに日本全国に自分の感じた絶望を振りまくことを実行しようとする。
(エンタメのコントロールがしにくかったのは、よく笑っている人間は精神が健全なため女王個体としての命令が効きにくいという本作のオリジナル要素の影響)

最後にPCによってエンタメの良さを知り考えを改めるも、それでも世界を憎む気持ちは消えなかったが、モモカの楽しい思い出の気持ちで絶望を上書きすることで、ある程度中和することができた。
モモカと同じく実年齢が3歳ほど、精神年齢が10歳ほどのため、癇癪を起こしやすくまた絶賛厨二病発症中。百暗哀という名前もそういった多感な時期ゆえのものである。


モモカ (No.101)


内久保和真によって作られた、”はじめ”の101番目のクローン個体。本作のヒロイン的立ち位置。
精神寄生体の研究のために産み落とされ、No.99(シロ)らと共に研究漬けの毎日を送っていた。
クローンの中でも生まれつき精神寄生体の感覚器官を利用できる才能を持った希少個体、言い換えるならエスパーである。
”はじめ”同様、精神寄生体の寄生を許さない脳構造を持って生まれたが、同様にはじめの先天的疾患まで引き継ぎ生まれてしまった。
そのため、作中で出会った祭には、すでに余命幾ばくもない状態(内久保の見立てでは年内が限度)であった。
当初は自分は研究所で生まれ死んでいくと運命をうけいれていたが、寿命を知ってしまってからはNo.001”ハジメ”の話していた外の世界を一度見てみたいと思うようになり、脱走を企てるようになる。(シロ同様モモカという名前はハジメからもらった)
脱走をしたのは鍵開けによるもので、これは存在を”ハジメ”に示唆され、自力で数をこなし習得した。
内久保もまさか鍵開けをされるとは思っていなかったため、脱走された際も自身の鍵のかけ忘れと勘違いしていたほど。

人型の”はじめ”のクローンは大なり小なり”はじめ”の脳とつながりを持ち、その記憶を受け継いでいる。
作中でPC1の自宅前で出会ったのは、極限の環境下で無意識に何処かに帰ろうとした際、”はじめ”の自宅へと自然に足が向いたからである。
”はじめ”の穏やかさ、優しさを色濃く引き継いでいたため、PCとの関係は基本的に良好になりやすい。その反面言語に関してはやや不自由で、3歳以上10歳未満の能力と言える。
女王個体ではないが、意思の発信能力を持っているため、小規模であれば免疫のない人間に対する命令も可能だが、本人は極力それを使いたがらない。

想定する流れとしては、”はじめ”同様PC達のエンタメに魅せられ、楽しい思い出を育み、その最期にシロの絶望を上書きする形で、自らの楽しい思い出を日本中に発するとともに、精神寄生体への自壊命令を出すこととなる。
そんなNK(ニッコリ)の呪文が日本を覆うことで日本人は精神寄生体の支配から逃れるわけだが、実は日本外の精神寄生体は生き残っていたりするので、この後がどうなるかは不明だったりもする。
呪文発動後は実体はなくなるが、精神体となってシロとともにPCたちを見守っている。


?? はじめ/ハジメ(No.001)


PC1の妹。
彼女は先天的臓器疾患を持って生まれたため幼い頃から病院で寝たきりの生活を送っていた。
そのことで内久保と出会い彼女は数奇な運命をたどることとなる。
彼女の脳みそは精神寄生体の規制を受けない特別な特徴を持っていた。そのことが目に止まり、内久保の研究対象となり、彼女のクローンが作られるようになる。
それだけであれば、研究の対価に臓器移植が受けられるWIN-WINな関係ですんだのだが、クローン体と意識が混濁するという予期せぬアクシデントで、術後彼女は意識不明となってしまう。

作中登場するハジメ(No001)、シロ(No99)、モモカ(No101)のクローン元でもあり、特に特に、最初のクローン個体であるNo001ハジメとは、精神的つながりが強く、半ば分身とも言える状態。
(寝ているときだけ電波で操れる分身体のようなイメージが近いだろうか)
そのため、意識を半ば共有するハジメが臓器移植のために破棄されたショックに起因し、クローン個体との精神共有が強まり、常にクローン体達と意識を共有する夢現の状態(意識不明)となってしまった。
意識共有の軸は”ハジメ”の脳だが、その他個体とも薄っすらと精神的なつながりを持っており、彼女はクローン体の脳を、目を通して事件のすべてを見ているが、彼女にとってはそれは淡い夢であり、事件解決後は意識が戻るとともにその記憶は薄れてしまう。
しかし、不思議なことにモモカの楽しかった記憶は、笑顔とともに彼女の中にひっそりと生き続けることになる。

ハジメとしての彼女は、シロとモモカの姉と言える存在で、彼女も二人のことは妹のようにかわいがっていた。(とはいえ本人はそれを夢の中の出来事と認識している)
外の話をしたり、二人に名前をつけたりしたのは彼女。ネーミングセンスは安直で百引く一のシロに、もも(百)+か(一)のモモカ。
そのネーミングセンスはしっかりとシロに受け継がれている。


八起 恵美やおき えみ


PC2の義理の姉。
盲目ゆえの下手くそな笑顔が特徴的な人物で、PC2に笑顔の大切さを教えた人物でもある。
口癖である「つらい時ほど笑顔でいるの」は、孤児ながらも強く生きる彼女の心情を強く表したもの。

彼女は特別な感覚器官を持って生まれたため、精神寄生体の女王体に寄生される特別な人間だった。
通常、人間は精神寄生体の感覚器官を持っていても、利用することができないが、彼女はその感覚器官が強力であったため弱いテレパシー能力(悟り)を無意識で使用することができた。
とはいえ、能動的に感覚器官を使う才能を持っていたわけではないので、他個体への命令などを含むテレパシーの発信はできない。

作中では震災に際し、そのテレパシー能力により沢山の人々の苦しみを一度に味わってしまい、錯乱に陥ったところを内久保に保護されることになる。
病院という場所自体が、苦しみに満ちており、感応能力を持つ彼女への治療には不適切、また精神寄生体に明るい医師がこの世で内久保だけという特異な状態ゆえ、病院にも隠されたまま廃施設へ隔離保護される形となってしまった。
(ちゃっかり研究も行っていたが、内久保本人としてもこのような形での保護は如何であったことは彼の名誉のために記しておく)
後に、そのことが原因となり、シロに体を奪われ脳缶の状態のまま連れ去られてしまうこととなる。

彼女は錯乱したまま脳缶の状態が続いていたが、それでもいつかPC2の笑いが自身に届く、PC2が見つかると信じ、静かにその時を待ち続けていた。
シナリオ終了後は体と脳を内久保に回収され、無事元の形に戻り、錯乱も収めることができた。
作中一不幸な目にあっているが、それでも正気を保てたのは彼女の精神が強靭であったためにほかならないだろう。