裏ループ(6周目)

🟡KP向け:ループ上の注意


・ループのたびにHPとMPは全回復します(SAN値はそのままです)
・ループのたびにSANチェックが発生しますが、これに対し慣れは適用されません
・SAN値上限の更新(不定チェック用)を行うには、ループを一度行う必要があります

6-1. ループ開始


音源は殊の外遠い場所にあったのか、走っても走ってもその場所に行き着くことができなかった。
いくら走っても音源との距離は縮まらず、やがて疲れて立ち止まってしまう。
なおも鳴り響く音楽に再度耳を澄ませてみると、今度は別の聞き慣れた音が自分の懐から鳴り響いていることに気がつく。
音源…スマートフォンを取り出すと、そこには非通知の着信があった。

一体誰から、逡巡するも君は慎重にその電話に出る。
すると周囲の景色が急に色づき、人々の喧騒が聞こえてくる。
眼の前には駅前のあの光景が広がっていた。

人混みの中、眼の前の女性は懐からスマホを取り出すと、自然とその着信に出る。
直後女性はしまったと言った表情で眉をしかめるも時すでに遅し。

「…はい、五条…」
「え?ああ、はい…はい…はい?今からです?」
「緊急ってそんな…あたし今日は無理って散々言ったじゃないですか…」

「どうしてもってそんな勝手な…」
「ああもう、わかりましたよ!わーかーりーまーしーた!」


眼の前に居るのは先程自ら赤い海に沈み、古都を守り散ったはずの文子。
そして周囲に広がるのは太宰府の駅前の景色。
たしかに文子は死んだはずだ、その非常識な出来事に君の常識が更に崩れる音がする。

 SANc:1/1D6 


あっけにとられていると耳元からズズッとノイズのような音が鳴り響く。
慌てて意識を再び謎の通話に向けるとくぐもった声で「文子には何も話すな」と聞こえてくる。
その声が聞こえたかと思うと、通話はぷつりときれ、あとにはツーツーと鳴り響くスマホが残るばかりだった。

直後、手の甲に痛みを感じる。
見やればそこには先程までと違う色で、正の字から三画引かれた丁のような字が浮かび上がっていた。
君達は直感的に悟るだろう。
これが最後の機会なのだと。

「すまん、ついつられて電話に出ちまった…」
「職場から呼び出しだ…急な欠員で今から出なきゃならなくなっちまった」

「悪い!ほんとごめん!」
「夕飯は豪華にするから!この通り!」

そう言って彼女は両の手を合わせて腰を曲げてこれでもかという謝罪の意をポーズで示す。


▶文子とのRP例



PC 押し黙っている

「どした?ボケーっとして?」
「昨日夜遊びしすぎてお疲れか?」

押し黙る君たちを心配し、文子が声をかけてくる。

PC 抱きつくなど

「え?なになに?」
「どうした急に!」

明らかに戸惑う様子の文子。

PC あったことを話す

「そうか、色々迷惑かけちまったみたいだな…」

「すまん…」
「そしてありがとう」

文子は真摯に君たちの言葉を一つ一つ受け取り、真剣な目で君たちを見つめ言うだろう。
彼女との確かな友情を感じたのもつかの間、君達は取り返しのつかないことをしてしまったのだと言う後悔に苛まれる。
ED4:廃都太宰府

🟡KP向け:文子へ前ループまでの情報を伝えた場合


文子に喋った時点で、新しい情報は出て来なくなります。
もう一度電話がかかってきて止める、幸運を振って環境音で聞こえなかったことにするなどして、それでもだめな場合はエンディングへ進んでください。


6-2. 新たな展開


「かといってお前らをほっぽりだすのも無責任が過ぎる…」
「致し方ない…」

眉をしかめながら少し逡巡し、文子は意を決してスマホを取り出しどこかへコールをする。

「もしもし、あーもううるさいうるさい!かけたくてかけたんじゃないやい!」
「ちょっと頼みがあってさ、どうせ天満宮に居るだろ?」

「友達の観光案内しようとしてたんだけどさ、急に職場に呼び出されてさ」
「あーもうわかってるって、だからこうして電話したんだろ」
「頼むよ…あーうっせ!お・ね・が・い・し・ま・す!これでいいか???」

「ん…じゃあ頼むわ…」
「延寿王院(えんじゅおういん)前な」

ピ、とスマホを切るとどっと疲れたように深く息を吐きだす。


「すまん、みっともないところを見せた」

「観光案内の方、お願いできるやつがちょうど天満宮にいたからそいつにお願いした」
「参道真っすぐ行くと、牛の像があるんだ、そこで待たせてる」

「まぁ胡散臭いおっさんだが太宰府に関してはあたしより詳しい」
「その点に関しては信用してもらっていい、その点に関しては…」

「おっとすまん!もう行かなきゃ!」
「ほんとごめんな!また後で連絡するから!!」
「あ、気に入らなかったらほっぽいていいから!」


そう言って文子は袴姿なのを苦にせず器用に駆け出す。
そして数秒の後、ラインに1枚の画像とメッセージが送られてくる。
このおっさんと書かれた画像には、渋い中年の男性が写っていた。


6-3. 幸一登場


もはや通い慣れた参道を通り、御神牛の元へと向かう。
10分もしないうちに目的地にたどり着き、そこには写真で見た通りの人物がいた。
君達がその人物に視線を送っていると、向こうも気づいたようでこちらに歩み寄ってくる。

「おっ、君達が文子の友達かい?」

そう言って声をかけてきたのは見た所4~50代の男性。

「はじめまして、僕は高辻幸一」
「太宰府のことだったら何でも聞いてくれ」
「なんせ年中ここに居るからね」

あっはっはと爽やかに笑う男性に嫌味さや不快感はまるで無い。
パッと話した感じはむしろ好感が持てる類の人物と言えるだろう。

「早速だが君達、太宰府は初めて?」
「初心者コースと、上級者コースがあるけどどっちがいい?」


🟡KP向け:幸一について


文子の父親ですが離婚して名字が違います。
また、幸一はPCと同じくループしている人物であり、このループが夢であることに気づいています。
性格はユーモラスながら軽薄さを感じさせないギリギリのラインを攻めた大人、といった感じで、ひょうひょうとしてどこか掴みどころのない人物です。

▶幸一とのRP例



PC 上級者コース?

「そ、太宰府の若干マニアックな場所を回るツアー」

「ただの太宰府観光には飽きたって人におすすめ」


PC 文子との関係を聞く

「なんて言うかな…ただならぬ関係?」


PC なぜ文子に邪険にされてるのかを聞く

「どうしてだろうなぁ」
「僕はこんなに愛してるのに」

そう言って彼は大げさにジェスチャーで残念がって見せる。

PC 観光に興味がないと伝える

「お?わけありかい?」

「手伝えることなら手を貸すけど…」
「その顔、行き詰まってるって顔だね」
「ビンゴだろ?」

「そういうときはちょっと羽根を伸ばしてみるといい」
「目線を引いていろんなものを見てみたら案外関係ないところから打開策が見つかるかもしれない」
「違うかい?」

そういう彼の言には何やら含蓄がある。

PC ループしていることを伝える(基本想定していません)

「ふーんそうかい」

彼は淡白に返事する、流石に唐突すぎただろうか。押し黙って続く言葉を待っていると…

「ま、僕もなんだけどね?」

そうあっけらかんと告げるのだった。

🟡KP向け:ループしていることを告げた場合


「そういうことなら焦るのもわかるが、なおのこと疲れてるんじゃないのかい?」
「今回は情報収集の回だと思ってさ、行ったことのないところにいってみようよ。そしたら何かわかるかもよ」

等と言って、通常ルート同様、上級者コースの観光に行くよう誘導してください。

🟡KP向け:初心者コースを選んだ場合


想定していません。
文子といっしょに回った場所、文子に紹介された場所をそれぞれ回るようにしてください。
新規の情報は特にないため、次ループでやることが増えます。(一応詰みではないです)


上級者コース観光

「じゃあまずはこっちに行ってみようか」

彼はそう行って天満宮とは逆方向へと歩き出す。

6-4-1. 浮殿


「ここは浮殿(うきどの)」

「御社殿(ごしゃでん)を囲む水面に建物が写ってういているようにみえることからそう名付けられた場所」
「と言っても、今は水を滅多に入れないんだけどね」

「秋の神幸式(じんこうしき)大祭で、道真公の御神霊を移した御神輿がお休みする御旅所(おたびしょ)さ」

「神幸式大祭というのは天神様の御神霊をお慰めして、皆の平安と五穀豊穣をお祈りする天満宮最大のお祭りさ」
「福岡の無形民俗文化財にも指定されててね」
「太古や鐘をドンカン鳴らしながら行列するからどんかんまつりなんて呼ばれてたりもする」

「御旅所っていうのはそのまま旅の休憩地点」
「地味だけど意外と重要な場所なんだ」


そう言って紹介された社は周囲を岩の池に囲まれた何の変哲もない建物だ。
これはこれで趣があるのだろうか?


6-4-2. 大国(だいこく)神社


そしてまたも天満宮から逆に数10mほど歩いた場所。
賑やかな参道の空気とは一変して静かな住宅地で幸一は立ち止まる。

「ここは小さいけど大国神社」
「そのまま大黒様…七福神の大黒天を祀る社だね」
「江戸以降は大国主命と同一視されたりもしている」

「道真公の家系は野見宿禰も配した天穂日命(あめのほひのかみ)の血筋とされているんだけど」
「その天穂日命が大国主命を奉るように命ぜられたらしく、代を経て道真公の御鎮座するこの地に祀ったって経緯らしい」

「大黒天は日本じゃニコニコした柔和な神様だが、もとを辿ればインドのマハーカーラ」
「つまり破壊と再生を司るシヴァ神が世界を破壊する際の姿と同一とされてもいる」
「ニコニコ優しそうだけど怒ると案外怖いのかもしれないね」

「一説によると一切空」
「大虚空天が転じて大黒天になったなんて珍説もあるね」


そう言って紹介されたのは太宰府の喧騒から少し離れたこじんまりとした社。
これまで見てきた社に比べると小規模で可愛い印象を受けるかもしれない。


6-4-3. 太郎左近社


大黒神社を通り過ぎ道なりにずっと歩いていく。
そして小高い山を登って下った先にその社はあった。

「ここは太郎左近社(たろうさこんしゃ)、たろしゃく様って呼ばれてる」
「昔は天満宮に祀られていたらしいが、室町以降にここに移されたらしい」

「病気平癒の神様でね、医者に見放された難病を治癒した神様だと言われている」
「祈り方が変わっててね、賽銭箱はなくて格子戸の中へ」
「それでここにある木の手形だったり足型だったり直したい患部をさすって」
「病名を年の数だけ紙に書いてに収めて祈るんだ」

「ま、健康なら今後も健康でいられるようにって祈っとくのが良いんじゃないかな」

そう言うと彼は「最近僕は腰がね…」と腰をさすってお祈りを始める。


6-4-4. 光明禅寺


そして今度は大黒神社のあたりまでもどり、参道に並行して通る裏道のような人気のない道へと歩を進めていく。

「ここは光明禅寺(こうみょうぜんじ)」
「名前の通りの禅寺(ぜんでら)だけど、庭が有名でね」

「仏光石庭と一滴海庭というそりゃ美しい庭があるんだが…」
「残念ながら最近はマナーの悪い観光客が多くてね、参拝禁止になってしまった」

「だからここは残念ながら外観だけ…」

そう言って彼は大げさに肩をすくめ歩みを進める。


6-4-5. 伝衣塔・千八稲荷


「ここは伝衣塔(でんえとう)」

「平安の後、鎌倉時代のこと」
「聖一国師(しょういちこくし)って偉い坊さんの夢枕に道真公が立って禅の教えを問うたらしい」

「聖一国師は中国…当時は宋の仏鑑禅師(ぶっかんぜんじ)を紹介した所」
「道真公は一夜のうちに宋に渡ってたちまちに悟りを開いて帰ってきたと言う」

「その証に道真公が受け取った法衣を、国師の弟子が収めて建てたのがこの塔だと伝えられている」
「さっきの光明禅寺もその流れでできた寺らしい」
「だから天満宮の割と近くにあるんだね」

「道真公はこのエピソードを含めてやたら人の夢に出ることが多い」
「それだけ人徳があったのか…」

「あるいは夢見の術や、時間操作の術に長けていたのか」
「なんてね」

「お稲荷様の方は残念ながら正確な由緒は不明」
「ま、でも手入れもされてきれいな場所だから手を合わせておくといい」

そう言って紹介されたのは小さな石塔と、いくつかの鳥居を伴うお稲荷様の社。
天満宮からずいぶんと離れてしまったが、こんな場所にもパワースポットというものはあるのだなと感心するかもしれない。


6-4-6. 志賀社(しがしゃ)


続いて天満宮に戻って、再び太鼓橋を渡る。
そして2つ目の太鼓橋を渡ったところで幸一は立ち止まる。

「ここは志賀社」
「海の神様である綿津見三柱神(わたつみのみはしらのかみ)を祀る社さ」

「小さい社だから見落としがちだけどね」
「世にも珍しい和様・禅宗様・大仏様の三つの建築様式を併せ持つ、美しい工芸品ともいうべき国指定重要文化財なんだ」

「境内でも最も古い御社殿でね」
「案外こういうところに天満宮の秘密なんかが隠されてたりするのかも?」



6-4-7. 謎の建物


続いて通い慣れた宝物殿の脇をすり抜け少し山を登ったあたり。

「ここはなんかよくわからない建物」
「僕のお気に入りでね、なんか…格好いいだろ?」

そう言って紹介された建物は確かに、見た目立派な建物だがその用途は見た目にはわからない。

「多分倉庫かなんかだとおもうんだけどね」
「だとしたらなんでこんな不便にあるのか」
「謎めいててちょっと素敵だと思わないかい?」

「案外なにか凄いものが隠されているのかも?」

と、茶目っ気たっぷりに言う幸一は、まるで大きな子どものようだ。


6-4-8. 天開稲荷社


今度は本殿の奥、菅公歴史館を通り抜けて更に奥。
何もなさそうな山道を進もうとすると沢山の真っ赤な鳥居が姿を表す。
そこを進んでいくと山の中腹のあたりに朱と白の縁起の良さそうな建物が現れる。

「ここはみたまんま京都の伏見稲荷大社から勧請(かんじょう)された神社でね」
「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)、つまるところのお稲荷様を奉っているんだ」
「なにげに九州最古のお稲荷さんとしてもしられている」

「特に開運と幸福をもたらすパワースポットとしてしられていてね」
「ある意味今の君達には一番必要なんじゃないかな」

「お参り方法もユニークで面白くてね」
「12個鈴があるだろ?これにはそれぞれ干支が書かれてるから自分の干支を選んで鳴らすんだ」

そう言って彼は鈴を一個選んで鳴らして見せる。
見れば確かに子丑寅と干支が書かれているのがわかる。

更に彼はその場で鮮やかな色の紅葉を一枚拾うと、すっと社前の石畳に備える。

「このたびは 幣(ぬさ)も取りあへず 手向山(たむけやま) 紅葉(もみぢ)のにしき 神のまにまに…ってね」
「知ってる?道真公のこの歌。百人一首にもなってるんだけど」

「道真公は歌人だったらしいが僕はこの歌が特に好きでね」
「なんというか道真公の誠実さと、謙虚さ、そしてほんのちょっとのユーモラスさが感じられてね」

「この歌から道真公の人物像に思いを馳せてるとねたまに思うんだ」
「神様にこういうのも失礼な話だけど」
「一度話してみたかった、ってね」


🔽参道での知識ロールに失敗している、または知識ロールを振っていない場合


🎲判定:知識ロール
判定成功!
このたびは ぬさもとりあへず 手向山
もみぢのにしき 神のまにまに

という、天神様こと菅原道真公の和歌だ。
意味は今度の旅は急なことで、神様に捧げるぬさを用意できませんでした。
手向山の錦のような紅葉をわたくしの捧げるぬさとして、神の御心のままにお受け取りください。と言う意味らしい。
判定失敗...
よくわからなかった。

▶発見:<かみのまにまに>

<確認:神のまにまに>


6-5. 上級者観光を終えて


「と、一日で回れるのはこんなところかな」
「どうだい?目立たないところも意外と見どころがあって捨てたもんじゃないだろ?」

そう彼が言うように、さすが古都。
端々まで見応えがあったのに加え、彼の軽快な解説もありいつの間にか楽しく観光していた自分に気がつく。

 SAN値回復:1D5 
 幸運回復  :1D5  ※7版のみ


「さて、そろそろタイムリミットみたいだ」

そう言って彼が親指で後ろ手に指差す先には、黒い風と赤黒い雷雲の姿がある。

「縁があればまた会おう」
「そんじゃ」

そう言って背を向けて歩き出す幸一。
後を追おうと、あるいは声をかけようとすると、君達の目前に雷が落ち、視界を真っ白に染める。
それと同時に君達の意識も白く白く薄れていく。