共通導入
2-1. 芸人の現状
🟡KP向け:普段の活動風景の描写
KPは普段PC2人がどのような形でエンターテイナーとして過ごしているか確認し、そのシチュエーションにあった描写を行います。
ただし、今は社会全体に強い自粛ムードが漂っており、観客となる皆はPLの披露する芸に対して、冷ややかな対応をしてきます。
季節は出来たる師も裸足で駆け出す師走時。
世俗の人間がすべからくせわしなく動くこの時期において、足を止め芸をする君たちの姿は酷く浮いて見えることだろう。
身を刺す冷たい空気が容赦なく君たちの体温を奪うが、身を刺すのは何も気温だけではない。
君たちを囲むのは行き交う人々の、冷たい針のような視線だ。
ハード判定成功以上!
しかしそれらはあっという間に周囲の雑踏に溶け、冷たい空気に馴染んでしまう。
通常成功!
しかしその瞬間周囲の冷たい目線がその人間に注ぎ、その笑い声は寒空の下にすぐさまかき消えてしまう。
判定失敗...
いや、ある意味でこの反応は想像ができていたことだった。
「自粛」
自ら粛むという、この姿勢が賛美されはじめたのはいつの頃からだっただろうか。
はじめは日本を襲った災害、そこに重なり新型ウイルスの流行、世界情勢の不穏な動きなど、様々な不幸がこの国を襲った。
いつしかテレビからはバラエティが消え、人々は”笑い”を悪と断じ、自ら笑顔を排するように動き出した。
皆が皆この空気に賛同しているわけではないだろう。
しかし社会全体から反対を許さない確かな圧力を感じ、人々はみな顔を伏せ、笑顔を隠し、慎ましやかに暮らしている。
はじめはこれほど強い自粛のムードではなかった。
日常から笑いの機会が減っても、まだ人々の中には笑顔が根付き見え隠れしていた。
しかし、不幸が続くにつれこのムードは強まり、最近では笑顔そのものを見る機会さえめっきりなくなってしまった。
今ではこのムードの中、ただ芸をするだけの君達を、みなが咎人のような目で見てくるほどだ。
針のむしろという言葉がこれほど似合う場も存在しないだろう。
居たたまれぬ空気の中、逃げるように君たちは舞台をあとにする。
寒空に長らくさらされた体はまるで氷像のように冷え切っていたが、冷たい視線にさらされ続けた君たちの心はそれよりも冷たい。
もう幾度この空気にさらされたことだろう。
その度に心を痛め傷ついたが、それでも君たちは芸の道から逃げることはしなかった。いや逃れられなかった。
それはエンターテイナーの矜持だろうか。それともそれとは別のもっとささやかな理由だろうか。
▶同業者やスタッフとのRP例
「いつまでこの空気が続くんだろうな…」
「まったくもう、商売上がったりだ」
「俺この仕事もうやめようかな…」
「この調子だとE-1もどうなることか…」
※E-1:エンターテインメントワングランプリ=エンタメのナンバーワンを決める芸人の祭典だ、当然PCも出場している
2-2. 世論の煽動者
心身ともに冷え切った君たちは、安らぎと温もりを求め家路を急ぐ。
そんなおり、頬を伝う一筋のしずくに気づく。
空を見れば雪になれなかった水滴がパラパラと群れをなして君たちに襲い来る。
徐々に強まるその勢いに、たまらず傘で遮るも、すでに浴びた水滴が天に帰るでもなし。
冷え切っていたはずの君たちの心身は更に冷たさを増し、それにつられるよう歩幅は増して行く。
駅前を横切ったところ、ふと街頭モニタの声を耳にする。
そこには、近頃テレビでよく見る女性がコメンテーターとしてニュースに出演し、きれいな微笑を浮かべながら粛々と何かを喋っている。
🌐秘匿情報(PC1)
あなたはこの女性の笑顔が偽りだとわかる。
そしてこれまでテレビで見てきたこの人物の笑顔は何一つ本物ではないことを知っている。
🌐秘匿情報(PC2)
君はこの女性を知っている。
姉とそっくりの顔を持ち、姉と真逆な主張をするこの女性を。
彼女は清雨会という新興組織の長である、百暗 哀という女性だ。
▶百暗哀のTV演説

「この国は今、難局に立たされています」
「このような時期こそ、他人の心をいたわり、思いやるべきです」

「多くの人が苦難に直面しているこのような時期に、エンタメ…」
「とくにお笑いといった軽薄なコンテンツや、それに類する言動は、他者の感情に悪影響を与える可能性があります」
「それだけでなくそのようなコンテンツは、緊急性の高い情報の伝達を阻害し、社会に誤解や混乱を引き起こす可能性があります」
「多くの人が苦しむ今のような非常時こそ、社会全体が粛々と、互いに配慮を持って慎ましく行動することが望ましいのです」

「誘惑も多いでしょうがそのようなものに惑わされず、真摯な態度で日々の生活を慎ましく送りましょう」
「それこそが我々にできる復興への最善手なのです」
判定成功!
だからこそあなたはそれが完全に正しいことだとも思わない。
冷たい雨に濡れる人とともに雨に濡れることをえらんでしまえば、一体彼らはどこで雨宿りをすればよいのか、わからなくなってしまう。
そんな気がするから。
判定失敗...
自分のしていることは本当に正しいことなのだろうか、少しわからなくなってしまう。
SANc:0/1
まさに、現在の自粛ムードを代弁するかのような論。
この女性を見かけるようになって半年。今ではテレビを付ければ毎日その姿を認めることができる。
賛否は分かれるところだろうが、この人物の不思議な説得力もあり、今は社会全体がこの論に従いつつあるようにも感じる。
思えば現状の行き過ぎた自粛ムードはこの女性が出現してから加速したようにも思える。
あなた方はエンターテイナーとして、この論に対してどう思うだろうか。
それこそこの時勢が始まってから自分でもずっと自問しているのかもしれない。
雨脚が強まる中、君達は悶々とした気持ちを強め、改めて帰路につくことになる。
そんな寂しい帰路のおり、
それは雨風しのげる我が家がようやく目前へと迫ったときのことだった。
2-3. 少女との出会い
🟡KP向け:ヒロインであるモモカとの出会い
本作はこのモモカ(No.101)とPCがどれだけ仲良くなり、劇的に別れを告げるかに遊び心地が大きくかかっているため、最大限にPCとの仲を深めるよう持っていってください。
モモカは俗に言うテレパシー能力を持っており、悟りと悟られの能力を任意で使用することができます。うまく活用してシナリオの流れのコントロールや、仲を深めるのに活かしてください。(あまり使いすぎると不気味、怖いのほうが強くなるのでご利用は計画的に)
彼女の悟られ能力(自らの感情を周囲に伝搬させる能力)とPCのお笑い技能の相乗効果により、エンタメ業界は活気を取り戻していくことになります。
判定成功!

「…たす…けて…」
判定失敗...

(…たす…けて…)
いや思い返すもそんな声は聞こえていない。声が届いたのは君の鼓膜ではなく、心のうちだ。
誰かが必死で助けを求める声、それを確かに心で感じた気がする。
奇妙な体験をした君はSANチェック。
SANc:0/1
思わず声がしたと思しき方を見やる。
そこには一人の少女が倒れ伏していた。
今にも雨粒とともに地面に染み入ってしまいそうな様子の彼女は、また一言か細くつぶやく「たすけて」と。
🌐秘匿情報(PC1)
少女の容姿が幼い頃の妹とうり二つであることに気づく。
違いといえば目や髪の色くらいのもので、これを偶然で片付けるのは難しい。
君はこの少女と妹との関連性を否が応にも感じ、興味を持ってしまうが、今のままでは話を聞くことも難しいだろう。
🔽少女を家に運ぼうとする
君たちは少女を抱えて運ぼうとする。
特に急ぎではないので成人であれば問題なく抱えることができるが、少女の体重は見た目以上に軽く感じる。
人一人分の命が腕に収まっているとは信じがたい軽さ、その重さの大半が彼女に染み入った冷水ではないのかと一瞬思ってしまうほどだ。
君たちはこの今にも消え入りそうな儚い命をどうするだろうか。
※本当に軽いわけではなく、儚さを強調する比喩表現です
🔽警察や救急車を呼ぼうとする

「警察、病院…だめ…」
するとなぜだろうか、警察と救急を絶対に呼んではいけない。いや、呼びたくないそんな気分になってしまう。
いつしか君たちの選択肢から警察と救急という選択肢はなくなってしまっていた。
※無意識下で発動している101の感情共有の力です、実質ここでは家に連れて行く以外の選択肢をこの力で与えません
※こう思うことは生物として自然なことであり、精神寄生体を持つPC達はこのことに逆らうどころか違和感をおぼえることも出来ません
🔽助けを呼ぶ声を無視しようとする
君たちは厄介事をおそれてか、余裕がないためか少女のその助けの声を聞かなかったことにしようとする。
その場をあとにしようとした時、急激な寒気を感じる。寒い、寒い、寒い。
体の芯の芯まで冷え切ってしまったような凍える感覚に加え、胸が凍りついて砕けてしまったかのような絶望感、味わったことのないような悲嘆の感情。
そういったものが一気に押し寄せてくる。
これは本当に自分の感情なのだろうか
SANc:1d3/1d6
そんなおり再度少女の声が聞こえる「たすけて」と。
凍えるような寒さの中で眼の前に現れた希望に必死ですがりつく気持ち、この張り詰めた気持ちは眼の前の少女の気持ちそのものではないだろうか。
これを無視すれば二度と自分は人の道を正しく歩めなくなる、そんな気さえしてくる。
※ここで少女を見捨てる場合BAD ENDになることをPLに伝えてください
→少女を見捨てる場合:ED:101 へ
2-4. 少女を救助
君たちの居住所はPC1の実家にあたる一軒家だ。
人家族が過ごすのに十分な広さを持つこの家に、君たちは今二人きりで暮らしている。
そんな住み慣れた我が家だが、本日はそこに予期せぬお客が一人。
慌てて運び込んだものの、事態は急を要するかもしれない。君たちはこれからどうするだろうか。
「あ…う…」
何かを聞いても彼女は困るばかりだ。まだ身体が冷えているせいだろうか、上手く受け答えができないようだ。
判定成功!
温水(熱湯はNG)等でゆっくり温めた上で着替えさせ、温かい環境にいれば回復が見込めるだろう。
判定失敗...
判定成功!
これはガッチリと腕にハマっており、外せそうにない
判定失敗...
🔽お風呂に入れるなど看病しようとする
問題なく行える。
PC1が妹の看病を積極的に行っている人間であれば、こういったことには手慣れているかもしれない。
🔽着替えを用意する
PC1の妹の古着を使うことができる。
10歳ごろの服が測ったようにサイズがぴったりだ。
一時間も暖を取れば彼女の顔色は随分と良くなる。
そして寒空にさらされ濡れていたのは君たちも同じだったが、少女を助けようとアレコレしているうちにそういったことは気にならなくなっていた。

「あり…がとう…」
その顔はどこかたどたどしいが笑顔を浮かべているようだ。
🌐秘匿情報(PC1)
彼女の笑顔が心からの笑顔であることがわかる。
あなたは心の芯の部分がほんのりと温まり、気持ちが落ち着くように感じる。
🌐秘匿情報(PC2)
彼女の笑顔につられあなたも自然と笑顔になってしまう。それは姉と同じ周囲を暖かくする笑顔だ。
あなたは心の芯の部分がほんのりと温まり、気持ちが落ち着くように感じる。
君たちの尽力により彼女の顔は生気を取り戻す。
今であれば落ち着いて話を聞けるかもしれない。
▶質疑応答のRP例
※ある程度質問をすると彼女は疲れて寝てしまいます
「私は…モモカ…」

「名字…?わからない…名前も、ハジメにもらっただけだから…」

「…えっと…お姉ちゃん?で…いいのかな…」

「似てる…でもどうだろう、髪の色が違うしちょっと大人かも…」
「でもなんだろう、懐かしくて…温かい…」

「わからない…逃げて…帰らなきゃって思ったら…ここに居て…」

「わからない、…ただ、必死で…逃げて…」

「…ごめんなさい、なんて言ったらいいのかわからない…」

「…えっと…両親は…分からない。家は…ないの…」
「家族…は、ハジメとシロだけ…(001と099のこと)」

判定成功!
ただ、彼女は答えるための知識や語彙を持ち合わせておらず、うまく答えられていないこともわかる
判定失敗...
🌐秘匿情報(PC1/PC2)
話をしているうちにあなたは酷く寂しく悲しい気分になってくる。
寂しい、一人は嫌だ、人恋しい、外は嫌だ、そんな気持ちが強く湧いてくる。
等と話していると、うつらうつらと彼女は船を漕ぎ出す。
よほど疲れているのか、はたまたまだ先程の消耗が尾を引いているのかはわからない。
🌐秘匿情報(PC1)
寝所を貸すのであれば、両親の部屋、妹の部屋など空き部屋は残っている。
>彼女を除いての相談RPタイム